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HSPとは?原因や遺伝との関係性、向き合い方を解説!

HSPとは?

HSPとは「人よりも敏感で繊細」な特性を持つ人のことで、近年、テレビや雑誌などで頻繁に取り上げられるようになり、自分がHSPである可能性を感じている方もいるでしょう。

この記事では、公認心理師・臨床心理士がHSPとはどのような特性なのか、その特徴や原因、抱えがちな悩みなどを解説します。

また、HSPの特性との向き合い方も解説しているので「自分はHSPかもしれない」「繊細で傷つきやすい自分自身を何とかしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

HSPとは?

白いテーブルの上に置かれたハート

HSPとは「生まれつき刺激に敏感な特性を持つ人」を指し、病気や障がいなどではありません。HSPを提唱した心理学者エレイン・アーロン氏は「HSPとは環境感受性が非常に高い人たちを表すラベル」と定義しています。

つまり「背の高い人」「目が大きい人」「左利きの人」などと同じように、その人が持つ特性の一つがHSPと考えられています。

病気や障がいではないことから診断がつきにくく、自身がHSPにあてはまるかどうかは主観的な判断となります。そのため、人に自身がHSPである旨を伝えても「自意識過剰」と捉えられたり、理解してもらえなかったりすることに、悩みを抱える人も多くいるとされます。

参考:上野 雄己(ら)(2020). Highly Sensitive Personは主観的幸福感が低いのか?. 感情心理学研究, 27巻, (3号).

HSPの4つの特徴

花の入った小さな花瓶を手で持っている様子

HSPの提唱者アーロン氏によれば、HSPは次の4つの特徴を有しているとのことです。ここでは、4つの特徴を一つずつ順番にみていきましょう。

情報を深く処理する

HSPは、「意識の座」として知られる脳の島皮質が活性化しており、情報をより深く処理する力に優れています。

物事に対して慎重な考えを持てる一方で、情報を深く捉えるあまり物事を開始するまでに時間がかかったり、複数のことを処理するのが苦手だったりする傾向もあります。

刺激に敏感

HSPは大きな音が苦手であったり、服についているタグがチクチクして気になったりする傾向にあります。また、他人から言われた言葉をずっと引きずってしまいがちな人もいるようです。

一方で、感覚が研ぎ澄まされていることで危険を素早く察知できたり、自分が傷つきやすい分人には優しくできたりと、刺激に敏感であることがプラスに働く場面もあります。

共感力が高い

HSPは、人の気持ちに寄り添うことを得意とします。他者の感情を自分のことのように感じ取れるため、周りの人の感情の変化にも敏感です。

思いやりを持って寄り添うことができる一方で、相手の感情に引きずられてストレスが生じることも多々あります。人の感情と自分の感情に線引きをする冷静さも、HSPには求められます。

変化に気づきやすい

わずかな刺激や変化に気づくことができる点もHSPの特徴の一つです。

環境や人間関係の些細な変化にもすぐに気づけるため、状況に異変が生じた際は、迅速な対応ができます

変化に敏感な分、あれこれ先読みしすぎてしまったり気を揉んだりして、疲れてしまうシーンも多いでしょう。しかし、わずかな違いが結果的に大きな違いを生み出すような料理や音楽の領域では、変化へのアンテナのするどさは、非常に大きな力となります。

HSPの原因とは?遺伝・環境要因との関係性

手を繋ぐ親子

HSPの原因は、遺伝と環境の両方が関与していると考えられています。

2,868人の思春期の双子を対象に行われた実験では、「感受性の気質」は約47%が遺伝することが判明しています。一方、残りの53%は環境要因によって培ったものという結果が出ています。

このことから親がHSPであっても、必ずしも子がHSPになるとは限らず、繊細な人になるかどうかは環境にも大きく左右されるといえるでしょう。

特に幼少期の環境は、生まれ育った感受性に大きな影響を与える要因です。仮にHSPの遺伝子を持って生まれてきたとしても、周囲の人々の接し方や日々の暮らし方などによっては、HSPとは真逆の性格に育つこともあります。

参考:Elham Assary(ら)(2021). Genetic architecture of Environmental Sensitivity reflects multiple heritable components: a twin study with adolescents. Molecular Psychiatry, 26, (4896-4904)

参考:Francesca Lionetti(ら)(2021). The role of environmental sensitivity in the development of rumination and depressive symptoms in childhood: a longitudinal study. European Child & Adolescent Psychiatry, 31, (11)

HSPが抱えがちな悩み

自然の中にハートのオブジェクトが置かれている

HSPは、日常生活のなかでさまざまな悩みを抱えがちです。

たとえば物事を深く考えてしまうため、人との関わりがスムーズに進まなかったり、新しいことへのチャレンジもネガティブに捉えてしまったりすることが少なくありません。

刺激への敏感さが、人混みへ出かけることを躊躇(ちゅうちょ)させる場面もあるでしょう。共感力が高いことで、「先生や上司が個人を叱っているのを見ると、自分も叱られてるように感じてしまう」といったふうに、HSPでない人と比べて心にダメージを受ける機会も多いといえます。

そしてこれらの症状に対し、他者から「気にしすぎ」「繊細すぎる」などと評価されてしまい、自分を「他の人より弱い人間」と責めてしまうこともあるかもしれません。

HSPの限界のサイン

HSPは他者に気をつかいすぎたり、周りと足並みを揃えることに必死になったりしがちです。自分を後回しにし、気づいたときには心身共に限界を迎えていることも少なくありません。

無理を重ねてしまうと回復に時間がかかるため、限界を感じる前に自分をケアすることが大切です。

頭痛や腹痛など、身体的な不調が現れたら注意しましょう。心にゆとりがなくなっていることで、身体に影響が出ている可能性があります。また睡眠不足や食欲不振など、体力や気力をうまく回復できなくなった際も、自分の状態を見つめ直す機会です。

一方で無気力になったりイライラしたりといった症状も、ストレスが原因となっているかもしれません。

ストレスは自分では気づきにくいため、定期的に自分の状態を見返し、不調を感じた場合は休んだりストレスの原因と離れたりなど、適切な対処が必要です。

参考:こころもメンテしよう|厚生労働省

HSPである自分と向き合うための4つのSTEP

HSPと書かれたハートのオブジェクト

HSPは自分の特性と向き合い、日々を快適に過ごすための対処方法を理解することが大切です。

ここからは、HSPがストレスや心の負担を軽減するために、自分と向き合うための4つのステップをご紹介します。

(1)自分が何に敏感かを把握する

HSPと一言で言っても、敏感になる対象はさまざまです。

自分がどのような刺激に対して特に敏感になるのか理解することで、「負担になりやすい環境」が見えてきます

自分が反応してしまうものが分かれば、必要な対処を取りやすくなり、心のバランスを保つ助けとなるでしょう。

(2)刺激を受ける環境・人とは距離を置く

自分の敏感な部分を理解できたら、なるべく自分を刺激しないような環境づくりをすることも大切です。

たとえば、人が多い環境にいると不安になりやすい人は、人混みに近づくことは避けたほうが良いでしょう。また、ストレスを感じる相手がいる場合は、顔を合わせてしまう時間を避けるようなスケジュールを組むと良いかもしれません。

刺激となる対象に近づかないようにすることで、ストレスが蓄積されるのを防げます。

(3)リラックスできる場所をつくる

刺激から離れるだけではなく、自分が安心して心を休められる「リラックスできる場所」を用意することも大切です。

自分の部屋をお気に入りの音楽やアロマで満たす、自然の中で過ごす時間を意識するなど、自分にとって「ほっ」と心を休められる環境を整えましょう。特定の場所でなくても、日常的なルーティンに「心が落ち着く時間」を取り入れるのも有効です。

自分にとって安心できる空間や時間を持つことで心がリセットされ、外部の刺激に対処する余裕が生まれます。

(4)マインドフルネスを実践する

マインドフルネスを取り入れることで、自分の思考や感情を客観的に観察する力を養うことができます。

マインドフルネス瞑想では、呼吸に意識を向けて「今ここ」の感覚を大切にします。思考や感情に飲み込まれそうになったとき、そのまま受け止めて流す練習を重ねると、自分の感情をコントロールしやすくなるでしょう。

自分の感情をコントロールする力が備わることで、HSP特有の「敏感すぎる反応」から少しずつ解放され、心の安定を保ちやすくなります。


以下の記事ではマインドフルネスについて詳しく解説しています。

マインドフルネスを用いて、HSPとの向き合い方を改善したい方はぜひチェックしてみてください。

まとめ|HSPである自分と向き合い「生きづらさ」を和らげる

HSPは繊細で人の気持ちに敏感なため、周りと足並みを揃えて行動できます。一方で、周りに気を使いすぎてしまい、自分のことは後回しになってしまいがちです。

その結果、心が萎んでしまったり、ストレスを溜め込んでしまったりといった結果を招くこともあります。

HSPの特徴や抱えがちな悩みを理解し、必要なケアを自分にしてあげることで、HSPならではの生きづらさが減少します。

ご紹介した内容を参考にして、HSPの自分とうまく向き合っていきましょう。


HSPである自分との向き合い方の一つとして、マインドフルネスが挙げられます。マインドフルネスを習慣化すれば、自分の内側を見つめるスキルが身につき、他人の感情や顔色に流されることも減らせるでしょう。

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