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脳を疲弊させるマインドワンダリングとは?原因や対処法を徹底解説

マインドワンダリング

「つい将来の不安なことばかり考えてしまう」
「過去の嫌な出来事が頭から離れない」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

意識が現在から離れて、過去や未来の出来事に思いを巡らせてしまうのは、脳のマインドワンダリングによるものです。私たちの脳を“さまよわせる”原因となる現象ですが、発生のメカニズムを知り、対処することで改善が望めます。

今回は、MELONインストラクターの林有加里さんへのインタビューをもとに、マインドワンダリングとは何かやその原因を解説した上で、改善方法を紹介します。

マインドワンダリングとは?

曇りガラスにクエスチョンマーク

マインドワンダリングとは、目の前の出来事ではなく、過去や未来に思いを巡らせる状態です。ふとした瞬間に「今こんなことを考えていたな」と気づく直前までの状態のことを指し、ネガティブなものとポシティブなものに分かれます。

ネガティブなマインドワンダリングは、ストレスを抱えているときに起こりやすく、マイナス思考を引き起こします。例えば落ち込んでいるときに、「これ以上考えたくないのに、そのことばかり考えてしまう」ときは、ネガティブなマインドワンダリングによるものです。

一方、ポジティブなマインドワンダリングは、ストレスが少ないときに起こりやすくなります。想像力を高め、意識的に考えているときにはつながらない「点と点」をつなげてくれるため、ひらめきが生まれやすくなります。

マインドワンダリングの発生源はDMN(デフォルトモードネットワーク)

脳が空中に浮かんでいる画像

マインドワンダリングは、脳内のネットワークであるデフォルトモードネットワーク(DMN)によって引き起こされます。

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは、ぼんやりしているときや、特に何にも意識を向けていないときに活性化する脳内のネットワークで、例えると車のアイドリング状態のようなイメージです。

DMNは脳内のおよそ60〜80%のエネルギーを消費しているといわれており、DMNが活発になればなるほどマインドワンダリングは発生しやすくなります。


デフォルトモードネットワーク(DMN)についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

過剰なマインドワンダリングにはどんな問題がある?

疑問を感じている女性の画像

マインドワンダリングにはポジティブな効果もありますが、過剰に働くと以下のような問題を引き起こす可能性があります。

ネガティブ思考に陥り不安感が増大

ネガティブなマインドワンダリングに陥り、抜け出せなくなるとメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。

人の脳は、旧石器時代からほとんど進化していないといわれています。つまり私たちの脳は、現代でも急に野生動物に襲われたり、災害が起こるリスクを警戒して常に危険から身を守ろうとしているのです。その結果、DMNは後悔や未来への不安などのネガティブな思考を発生しやすくします

ネガティブな思考に囚われて、極端に嫌なことばかり考え続けてしまう(反すう思考)状態が続くと、うつ病不安障害になる可能性が高まります。

脳疲労をおこし、心身の健康が悪化

マインドワンダリングは脳を疲労させ、心身の健康に悪影響を及ぼします。

マインドワンダリングの原因となるDMNは脳の総エネルギーの60〜80%を消費しているため、DMNが過剰に活動しマインドワンダリングの状態が長く続くと精神面に悪影響を与えるだけでなく、脳疲労につながり、頭や身体の重だるさを感じるようになります。

集中力を低下させ、仕事のパフォーマンスが低下

マインドワンダリングが頻繁に起こると集中力が低下し、仕事のパフォーマンスにも影響します。

マインドワンダリングが起こると、目の前のタスクに集中しづらくなるため効率が悪化します。また、思考が頻繁に逸れることで、細かいミスや見落としが増える可能性が高まります。

仕事がうまくいかないことでネガティブ思考から抜け出せなくなり、さらに集中力が低下するという悪循環に陥る危険性があるため注意が必要です。

マインドワンダリングを抑えるマインドフルネスの効果とその理由

瞑想をする女性の画像

マインドワンダリングにお悩みの方におすすめなのが「マインドフルネス」です。

ここでは、マインドフルネスがネガティブなマインドワンダリングを抑え、ポジティブな効果を発揮させるのに有効であることについて研究に基づいて解説します。


そもそもマインドフルネスとは?を知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

マインドワンダリングを減少し、パフォーマンスを向上

マインドフルネスがマインドワンダリングを減らすかを検証した研究において、マインドフルネスを受けたグループには以下のような効果が現れていると実証されました。

・マインドワンダリングが減少し、集中力が目の前のタスクに向けられた
・その結果、読解テストのスコアとワーキングメモリが向上した

ワーキングメモリは、脳が情報を一時的に保持し操作する能力で、「前の会話の内容を記憶しながら会話を続ける」「関連する情報を保持しながら解決策を考える」など複雑なタスクに不可欠です。

マインドフルネスを実践すると「今ここ」に集中できるようになり、この集中力の向上に伴ってワーキングメモリをはじめとするパフォーマンスに関係する能力が向上します。

参考:Michael D Mrazekら (2013). Mindfulness training improves working memory capacity and GRE performance while reducing mind wandering. Psychological Science, 24, (5).

DMNの活動を抑え、ストレスや不安を軽減

マインドフルネスがマインドワンダリングの原因である「デフォルトモードネットワーク(DMN)」の活動を抑えると実証した研究もあります。

これは、マインドフルネスが、DMNを司る脳の主要な領域である「内側前頭前野」と「後部帯状皮質」の活性を抑制するためです。

マインドフルネスによってDMNの活動を抑えることで、ネガティブな考えから抜け出せなくなることが減り、不安やストレスが軽減します。

参考:Judson A. Brewerら(2011).Meditation experience is associated with differences in default mode network activity and connectivity. PNAS, 108, (50).

マインドフルネス瞑想によって脳に起こる変化については以下の記事で詳しく紹介しています。

創造性を向上

マインドフルネスはマインドワンダリングの悪影響を抑えるだけでなく、創造性を向上させることも判明しました。

研究によると、マインドフルネスと創造性の間には正の相関があり、特に収束的思考を強化します。

収束的思考とは、多様な情報やアイデアから最適な解決策を選び出したり、アイデアを組み合わせてより良い方法を探る思考プロセスです。価値あるものを創り出す過程において、収束的思考は重要な役割を果たします。

このように、マインドフルネスはマインドワンダリングのメリットも引き出してくれます。

参考:Zoe Hughesら (2023). A meta-analytical review of the impact of mindfulness on creativity: Framing current lines of research and defining moderator variables. Psychonomic Bulletin & Review, 30, (6).

マインドワンダリングに効果的な3つのマインドフルネス瞑想法

光の中で瞑想をする女性

マインドフルネスには、数多くの瞑想法があります。ここでは、その中でも特にマインドワンダリングにお悩みの方向けの瞑想法を3つ紹介します。


こちらの記事では初心者の方でも簡単にできる瞑想法を数多く紹介しています。日常に取り入れやすいものも紹介しているので、「これだったらできそう!」と思ったものをぜひ試してくださいね。

【動画あり】自己受容を深める|慈悲の瞑想

慈悲の瞑想は、自分や周りの人の幸せを願う瞑想です。自己受容が深まり、ネガティブな感情に巻き込まれにくくなる効果があります。ネガティブなマインドワンダリングに悩んでいる方は、慈悲の瞑想を取り入れて自分を丁寧に労ってあげましょう。

やり方は以下の動画で紹介しています。また、『「慈悲の瞑想」とは?すごい効果・やり方を解説!慈悲のフレーズやコツも紹介』の記事でもやり方や効果を詳しく説明しています。

【動画あり】睡眠の質を高めネガティブ思考を軽減|ボディスキャン瞑想

睡眠不足だとネガティブ思考に陥りやすく、マインドワンダリングを引き起こしやすくなります。

現実で起きた出来事が夢に現れることで記憶の整理や定着・感情の適正化が行われますが、睡眠不足だとこれらの調整が不十分になり、ネガティブな感情が残ってしまうためです。最低でも一日7時間程度は眠るように心がけるといいでしょう。

とはいえ、「なかなか眠れない」「スッキリ目覚められない」など睡眠に課題を感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが、睡眠の質を向上させる「ボディスキャン瞑想」です。寝たままできるので、寝つきの悪さに悩んでいる方は寝る前に行ってリラックスするのをおすすめします。

やり方は以下の動画で紹介しています。また、「寝ながらできるボディスキャン瞑想とは?効果を解説|やり方を動画で紹介」の記事でもやり方や効果を詳しく説明しています。

参考:放っておくと怖い「睡眠負債」。寝不足がもたらす心身への影響と対処法を大学教授に聞いた|LINK@TOYO

思考が整理できる|ジャーナリング(書く瞑想)

ジャーナリング(書く瞑想)は自分の頭の中に浮かんだことを紙に書き出す瞑想法です。3分間など時間を区切ってひたすら思考を紙に起こしましょう。感情や思考を外に出すことでネガティブな気持ちと距離ができ、巻き込まれにくくなります。

また、思考が整理されると自分の思考の癖にも気づきやすくなります。マインドワンダリングから抜け出すには、まずマインドワンダリングに陥っているのに気づくことが大切ですが、ジャーナリングはその手助けとなります。

マインドフルネス・ジャーナリングとは?書く瞑想の効果とやり方」の記事ではやり方や効果を詳しく説明しています。

まとめ|マインドフルネスを活用してマインドワンダリングに対処しよう

今回はマインドワンダリングとは何かや、その原因を解説したうえで、マインドフルネスを活用した対処法を紹介しました。

ネガティブな気持ちに囚われると目の前の幸せにも気づきにくくなってしまいます。マインドワンダリングにお悩みの方は、ぜひマインドフルネスを取り入れて、「今ここ」にある幸せを感じられる自分に変わりましょう。


オンライン・マインドフルネスサービス「MELONオンライン」では、

・基本の呼吸瞑想を扱う「Basic」
・ボディスキャン瞑想を扱う「Body Scan」
・ジャーナリングを扱う「Recognition」

など、月間300以上のクラスを提供しています。クラスはリアルタイムまたはアーカイブ配信をご用意しているので、いつでもどこでも実践することができます。

また、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧にわかりやすくレッスンを行うため、初心者の方も安心です。

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