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ストレスに強くなる「レジリエンス」をマインドフルネスで育てる方法

レジリエンス

仕事や人間関係など、日常のあらゆる場面でストレスを感じ、心が押しつぶされそうになる瞬間はありませんか?ストレスを完全になくすことは難しく、波はあれど、付き合い続ける必要があります。だからこそ、うまく対処できる方法を持っておくことが大切です。

そういったストレスフルな状況を乗り越えるのに役立つヒントとして注目されているのが「レジリエンス」です。今回は公認心理師・臨床心理士で、ヨガ講師でもある南舞さんが、レジリエンスとは何か、レジリエンスが役立つ理由や、マインドフルネスがレジリエンスを育むのに役立つ理由や具体的な方法についてご紹介します。

レジリエンスとは?レジリエンスが注目される理由

ピンクの背景に青いクエスチョンマーク

レジリエンスとは、困難やストレスに直面した際に、立ち直って適応したり、早期に回復する能力のことです。日本語では「精神的回復力」や「復元力」などと訳されており、厚生労働省の資料では、「屈せず、立ち直り、乗り越えること」と翻訳されています。

もともと、トラウマ研究や目まぐるしく変化するビジネスの中で注目されていたレジリエンス。近年では、さまざまな場面でメンタルヘルスに寄与するものとして注目されています。

現代社会では、仕事や家庭、社会的なプレッシャーなど、さまざまな場面でストレスを抱える人が増えており、メンタルヘルスに対する社会的な認識は年々高まってきています。メンタルヘルスの維持がますます重視されるようになっている今、困難なことに直面しても、立ち直って適応していく力であるレジリエンスが、注目されるようになりました。

また、ポジティブ心理学という学問が出現したことも、レジリエンスへの関心を高める要因となっています。ポジティブ心理学は、疾患や障害を治療するだけでなく、個人の強みや幸福感を向上させることに焦点を当てています。その中でレジリエンスは、中核的な概念の一つとして位置づけられています。

参考:令和元年版労働経済の分析「第三章『働きがい』をもって働くことのできる環境の実現に向けて」|厚生労働省

レジリエンスを高めることで得られるメリットとは?

海の前で手を広げる女性

レジリエンスが日常生活にどんなメリットを与えてくれるのか、いくつかの視点でご紹介します。

(1)ストレス耐性が高まる

日常生活において、ストレスは避けられないものです。そのため、ストレスとうまく付き合っていく術を身につけていく必要があります。

そこで役立つのがレジリエンスです。レジリエンスを高めると、ストレスに対する耐性が向上します。レジリエンスが高い人は、ストレスに対して、建設的な対処を選択します。困難な状況に対して前向きなアプローチを取ることで、ストレスの影響を軽減することができるのです。

(2)メンタル不調の予防になる

レジリエンスが高いと、困難な状況に対して柔軟に対応し、自身の中に起きる感情をうまくコントロールできます。すると、過度なストレスや不安などのネガティブな感情によってもたらされる、メンタルヘルスの問題を避けることができます

また、レジリエンスが高い人は、自己認識や自己効力感が高いため、困難に直面した際にも自分自身を信じ、適切なサポートを求めることができます。すると、うつ病不安障害などのメンタル不調を予防することができます。

(3)ウェルビーイングを高める

ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を指す言葉です。レジリエンスが高い人は、困難や失敗をポジティブに捉え、自己成長につなげることができます。

また、人とのつながりを大切にし、社会的なサポートを受けることで、心理的な安定感やQOL(Quality of Life, 生活の質)が向上します。レジリエンスを強化することは、ウェルビーイングの向上にも役立ちます。

参考:Stefanie Macheら (2018). Mental health promotion for junior physicians working in emergency medicine: Evaluation of a pilot study. European Journal of Emergency Medicine, 25, (3).

レジリエンスを構成する6つの要素

ジグソーパズルの画像

困難やストレスに対処する力であるレジリエンスは、全部で6つの要素から成り立っています。

(1)自己認識

自己認識とは、自分の感情、思考、行動パターンを理解することです。レジリエンスにおいては、自分の強みや弱み、ストレスに対する反応を把握することが、適切な対処法を選択することに役立ちます。

自己認識が高いと、感情に飲まれずに冷静に自身の状況を分析し、困難に対してどんな手立てが取れるのかを選択して行動する力が向上します。

(2)自己調整

自己調整とは、自分の感情や行動をコントロールし、適切に管理する力のことです。レジリエンスを発揮するためには、ストレスやプレッシャーを感じる状況の中でも、冷静さを保ち、有効な行動を選択する力が求められます。

自己調整ができるようになると、感情の影響による衝動的な行動を避け、状況に応じた行動が取れるようになります。

(3)精神的柔軟性

精神的柔軟性とは、変化や逆境に対して柔軟に対応できる能力です。状況に応じて、考え方やアプローチを変更し、その場に適応する力が含まれます。

精神的柔軟性が高いと、困難な状況でも新しい視点を得て、解決のための行動を導き出すことができます。

(4)楽観性

楽観性とは、未来に対して前向きな期待を持つ姿勢です。レジリエンスにおいては、困難な状況でも希望を持ち、問題はずっと続くわけではなく、一時的なものであると捉える力が大切です。

このような思考は、逆境に直面して落ち込んでも、立ち戻って前向きな方向性に進むためのエネルギー源となります。

(5)自己効力感

自己効力感とは、「自分ならできる」「きっとうまくいく」という感覚のことです。レジリエンスにおいては、困難な状況に対して、自分の力で解決できるという自信を持っていることが大切です。

自己効力感が高いと、自分の行動は結果につながるという信念が強くなり、困難を乗り越えるために行動し続けることができます。

(6)人とのつながり

家族や友人、同僚など、他者との良好な関係は、困難に直面したときに支えとなり、レジリエンスを高めるのに役立ちます。信頼できる人とつながりを持つことで、困難な状況下でも、孤立感を感じず、時には他者と協力して問題に立ち向かうことができます。

これら6つの要素がバランスよく育まれることで、さまざまな困難や逆境に対して適応し、回復する力が向上するといわれています。

参考:Reivich, K. Jら(2011). Master resilience training in the U.S. army. American Psychologist, 66, (1).

レジリエンスが役立つ場面とは

頭を抱える女性

レジリエンスは特定の人にだけではなく、誰にでも役立つスキルです。そこで、レジリエンスが高いとどういった日常生活の場面で効果的かをいくつかご紹介します。

(1) 職場

職場では、急な変化や予期しない出来事が起こり得ます。レジリエンスを高めると、急な変化や予期しない出来事に柔軟に対応したり、ストレスやプレッシャーを感じてもやり過ごすことができます。

また、職場内での困難な状況に置かれても冷静さを持ち、効果的な問題解決をすることができます。これにより、個人だけでなく、職場の生産性にもつながります

(2)人間関係

レジリエンスは、他者とのつながりを強化することにも役立ちます。

葛藤場面に置かれても、ネガティブな感情に飲まれて突発的に行動するのではなく、目の前の相手を理解し、わかり合おうとすることで、関係を修復することができたり、さらに厚い信頼関係を育むことができます

(3)個人の成長

レジリエンスが高いと、困難や逆境に直面した際に、それを乗り越えるための行動を取ろうとします。この過程を経ることで、自己理解を深め、内面的な成長を遂げることができます。

また、このような経験は自己効力感や自尊感情を高めることにも役立つので、精神的に安定し、幸福度の高い人生を送ることができます。

マインドフルネスがレジリエンスを強化する?その理由は?

青空を前に瞑想をする女性

レジリエンスを高める方法として、最近ではマインドフルネスが注目されています。

マインドフルネスとは、「今この瞬間に意識を向けること」。マインドフルネスの実践として行うマインドフルネス瞑想では、意識が注意の対象から逸れたことに気づき、再び注意を元の対象に戻す練習を行います。このプロセスは、日常生活で悩みやストレスに直面した際に効果的で、レジリエンスを強化するのにも適しているといわれています。

ここでは、マインドフルネスがレジリエンスに与える主な影響を3つご紹介します。

(1)感情の安定化

マインドフルネスは、自分の中に起きている感情に気づき、それを冷静に観察することで、感情に振り回されることなく安定した心の状態を保つことを目指します。

感情が安定すると、葛藤場面に適切に対処でき、回復力が高まります。結果として、レジリエンスの強化につながります。

(2)ストレスの軽減

今起きていることに意識を集中させることで、過去や未来に対する過度な心配や不安を和らげます。すると、ネガティブな感情によるストレスが軽減され、影響を最小限に抑えることができます。

また、マインドフルネスの実践は、リラクゼーション効果が高いといわれているため、ストレスフルな状況でも心身がリラックスし、回復することができます。

(3)自己受容の向上

マインドフルネスは、自分自身を批判することなくありのままに受け入れる姿勢を育むのに役立ちます。自己受容ができるようになると、自分の弱みや失敗を過度に否定するのではなく、学びや成長の機会として捉えられるようになります。

困難な状況におかれても、自己効力感が高い状態で乗り切ることができます。結果として、レジリエンスの強化につながります。


マインドフルネスとは何かはこちらの記事で体系的に詳しく解説しています。

マインドフルネスでレジリエンスを高める方法とは?

ベランダでヨガをしている女性

レジリエンスを高めるのに役立つマインドフルネス瞑想の実践方法を、いくつかご紹介します。動画や詳しいやり方の記事も、ぜひあわせてご覧ください。

(1) マインドフルネス呼吸瞑想

マインドフルネス呼吸瞑想は、呼吸に意識を集中させる、シンプルですが効果的な瞑想法です。心を落ち着かせ、ストレスを軽減するのに役立ちます。呼吸に集中することで、さまざまな考えごとやストレスから解放され、感情が安定します。感情が安定することは、レジリエンスを高める大切な要素です。

マインドフルネス呼吸瞑想を継続して取り組むことで、ストレスフルな状況でも冷静さを保ち、効果的に対処できる力が強化され、レジリエンスが向上します。また、マインドフルネス呼吸瞑想は、自己認識を深めることにも役立ちます。すると、ストレスに対する気づきに敏感になり、早期に対応することが可能になるため、メンタル不調の予防も期待できます。

(2)ボディスキャン瞑想

ボディスキャン瞑想は、身体の各部位に丁寧に意識を向けていく瞑想法です。体の各部位に起きている感覚(体の温度、血液が流れている様子などの体の内側の感覚、皮膚の表面の感覚など)を繊細に感じ取りながら、心身を緩めていきます。ボディスキャン瞑想を行うことで、体と心のつながりを強め、ストレスや緊張を解放するのに役立ちます。

また、ボディスキャン瞑想は自己調整力を高めることにも役立ちます。感情や身体の反応をコントロールしやすくなり、困難な状況でも安定したパフォーマンスを維持できるようになります。

より詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。

(3)セルフ・コンパッション

セルフ・コンパッションは、自分自身に対して優しさや労り、理解を持って接する態度を育むものです。セルフ・コンパッションを身につけることで、困難な状況の中で自己批判や厳しい自己評価をするのではなく、自己受容し、自分が自分の味方になるという姿勢が生まれます。

自分への優しさが増すと、困難に直面した際の心のダメージが軽減され、回復が早くなります。結果として、レジリエンスが強化され、長期的に安定したメンタルでいられるようになります。


セルフ・コンパッションとは何かはこちらで詳しく紹介しています。

レジリエンスを高めるのに役立つMELONオンラインのプログラム

レジリエンスを高めたい方は、ぜひMELONオンラインを始めてみませんか?

マインドフルネス初心者の方、何から始めていいかわからない方も、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧にわかりやすくレッスンを行うので安心です。

レジリエンスを育むのに役立つ、マインドフルネスのクラスも多数ご用意しています。おすすめのクラスをいくつかご紹介しますので、日々のセルフケアとして役立ててみてください。

(1)Recognition

思考や感情と一体化しすぎず、自分を客観的に観察する習慣を身につけるのに役立ちます。感情に振り回されてストレスフルになってしまう方におすすめです。

(2)Heart

慈悲の瞑想をすることで、レジリエンスに必要なセルフ・コンパッションや自己受容する力を育むのに役立ちます。

(3)Focus

音や呼吸法といったさまざまなツールを使い、思考や感情に流されずに、目的に意識を戻せるような力を育みます。レジリエンスに必要な自己調整力を養うのにおすすめです。

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まとめ |レジリエンスを高めてストレスや逆境に負けない力を育む

この記事では、ストレス耐性を高めたり、ポジティブな人間関係やウェルビーイングを育むのにレジリエンスが役立つということ、そして、マインドフルネスがレジリエンスを高めるのに有効だということをご紹介しました。

レジリエンスは、ストレスフルな現代社会を乗り切るために、誰にでも必要なものといえるでしょう。MELONオンラインのプログラムを活用しながら、レジリエンスを育てるのに役立ててくださいね。