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漠然とした不調は秋バテのせいかも?秋バテの正体と対処法とは

秋バテのアイキャッチ

暑い夏が終わり、秋の雰囲気を感じられる時期になりました。ホッとしたのも束の間、「あれ?なんだか調子が良くないかも……」と感じている方がいたら、それは秋バテによるものかもしれません。

今回は、公認心理師・臨床心理士の南舞さんが、秋バテの特徴や秋バテが心身に与える影響、その対処法について解説していきます。

秋バテとは?その特徴と起きる理由

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みなさんは、秋バテという言葉を聞いたことがありますか?秋バテとは、夏の疲れを引きずりながら、秋の入り始めに起きがちな寒暖差や、気圧の変化の影響を受けて自律神経が乱れることによって起きる心身の不調を指します。

近年の厳しい暑さによって、私たちの体にはダメージが蓄積しています。そこに追い討ちをかけるように寒暖差や気候の影響がやってくると、さらに心身にダメージを受けてしまうのです。

秋バテの症状としては、以下のようなものが挙げられます。

《身体症状》
体がだるい、疲れやすい、朝スッキリ起きられない、1日中眠いなど

《精神症状》
やる気が起きない、落ち込みやすい、鬱々とするなど

秋バテは疾患名ではなく、あくまで状態を表す言葉ですが、放っておくと心身の不調が長期化したり、ひどくなったりする可能性があります。そのため、十分に配慮しつつ、早めのケアが必要です。

暑さによって、脳がオーバーヒートする?その影響とは

日傘を差し、暑がる女性

秋バテに与える要因の一つに、「脳のオーバーヒート」が注目されています。

私たちの体は、過度な暑さなどの過酷な環境に長くいることによって、体温調整の機能が過剰に働く、あるいは体内の水分や電解質のバランスが崩れてしまいます

その結果、脳のパフォーマンスや機能が低下し、「脳のオーバーヒート」と呼ばれる状態を引き起こします。具体的には、以下のような影響が考えられます。

(1) 認知機能の低下

厳しい暑さによって、脳に負担がかかると、判断力や集中力などの認知機能を低下させます。これにより、日常のタスクや仕事に対するパフォーマンスが低下する可能性があります。

参考:Nadia Gaouaら (2011). The Effects of Heat Exposure on Cognitive Performance. Qatar Foundation Annual Research Forum Proceedings.

(2) ストレスホルモンの増加

暑い環境では、身体が熱を外に放出しようとするため、脳は過剰なエネルギーを消費します。この過程で、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、さらに脳に過剰な負荷がかかります。

こうした状態が長期的に続くと、ストレスの要因になり、疲労感やイライラを感じる機会が多くなります。

参考:Bruce S McEwen (2007). Physiology and neurobiology of stress and adaptation: Central role of the brain. Physiology Reviews, 87, (3).

(3) 自律神経の乱れ

気温の急激な変化は自律神経に影響を与えます。自律神経の乱れにより、体温調整がうまく機能しなくなり、疲労感や倦怠感を感じやすくなります。

参考:Ronald Glaserら (2005). Stress-induced immune dysfunction: Implications for health. Nature Reviews Immunology, 5,(3).

(4) 睡眠の質の低下

暑さによって、体温調整が難しくなり、睡眠の質にも影響します。質の悪い睡眠が続くと、脳が十分に回復できず、日中の脳のパフォーマンスが低下します

参考:Kazue Okamoto-Mizunoら(2012). Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. Journal of Physiological Anthropology, 31, (1).

秋はメンタル不調にも注意

女性が憂鬱な気分で落ち込んでいる状況

秋は体の不調に加え、メンタル不調も起きやすい季節です。その理由を心理学的な視点からいくつかご紹介します。

(1)「季節性情動障害(SAD)」の兆候

季節の変わり目をきっかけに発症しやすいとされる「季節性情動障害(SeasonalAffective Disorder: SAD)」は、秋のメンタル不調の代表的なものです。

季節性情動障害は、日照時間の減少によってセロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質のバランスが乱れ、感情の調整がうまくいかなくなることが原因と言われています。これにより、抑うつ、活動意欲の低下、過食や過眠、イライラや不安などのネガティブな感情が増えるといった症状が見られることがあります。

(2)日照時間の減少による体内リズムの乱れ

秋になって日照時間が短くなると、概日リズム(がいじつリズム)と呼ばれる、体内時計に影響を与えます。概日リズムは、私たちの睡眠、ホルモン分泌、体温調節などを調整する重要な役割を持っています。

日光の不足によって、メラトニンの分泌が増えて眠気や倦怠感を感じやすくなったり、セロトニンの減少により、不安感や抑うつ症状が強まる可能性があります。

参考:Czeisler, C. Aら(2007). Sleep and circadian rhythms in humans. Cold Spring Harbor symposia on quantitative biology, 72.

(3)自律神経の乱れによるストレス

秋は、急激な気温の変化が身体にストレスを与え、自律神経のバランスを崩すことがあります。

自律神経が乱れると、イライラや焦燥感などが増え、感情のコントロールが難しくなったり、気温の急激な低下により体力が消耗し、疲労感が増すことで気分の落ち込みにつながることがあります。

(4)季節性のライフスタイルの変化

秋になると徐々に気温が下がり、冬に向かって室内に閉じこもっていく生活に移行していきます。すると、外出する機会が減り、陽の光を浴びる機会が減ることで自律神経が乱れる原因となります。

また、秋から冬にかけての時期は、年末に向けてやらなければいけないことが増えるプレッシャーから、精神的な負荷がかかりやすくなる事もメンタルヘルスに影響を及ぼすのかもしれません。

秋バテへの対処法や予防は?

秋バテ 対処法

ここからは、秋バテに対して有効な対処法や予防策についてご紹介します。できそうなことから少しずつ試してみてくださいね。

(1)日光を浴びる

秋は日照時間が短くなるため、日中にできるだけ日光を浴びるようにしましょう。

日中に散歩をするようにしたり、短時間でも外に出る機会を習慣にすると、秋バテの予防につながります。

(2)生活のリズムを整える

季節の変わり目は心身のバランスを崩しやすい時です。そんな時こそ、日常生活のリズムを整えることを心がけましょう

例えば、食事の時間を規則的にする、忙しい時期でも適度な休憩を取り入れることで、心身のバランスを維持しやすくなります。

(3)十分な睡眠を確保する

季節の変わり目には、睡眠の質が悪くなることがあります。質の良い睡眠は、心身の安定に欠かせません

例えば、同じ時間に就寝・起床する、寝室の室温や湿度を適切に保ち、リラックスできる環境を作る、寝る前にはスマホやパソコンの使用を控えるなど、質の良い睡眠を取るための工夫をしてみましょう。

(4)バランスの取れた食事をとる

季節の変わり目には、体がエネルギーを消費しやすくなるため、栄養バランスの取れた食事を摂るよう心がけましょう。秋バテの解消には、以下のような食材がおすすめです。

《ビタミンB群》
・エネルギー代謝をサポートし、疲労回復に役立つ。
【効果的な食材】豚肉、卵、大豆など

《鉄分》
・疲労感や倦怠感の軽減に効果的。
【効果的な食材】レバー、ほうれん草、ひじきなど

《マグネシウム》
・自律神経を整え、リラックス効果が期待できる。
【効果的な食材】ナッツ類や海藻など

その他にも、秋の旬の食材(栗、かぼちゃ、さつまいも、きのこ類など)を積極的に摂取することで、エネルギーを補い、季節の変わり目に対する体の適応力や免疫力を高めてくれるといわれていますので、積極的に摂っていきましょう。

(5)リラックスできる時間を作る

精神的な疲労やストレスは、秋バテを悪化させることがあります。心と体をリラックスさせるのに、入浴の時間を活用しましょう。温かいお湯にゆっくり浸かることで、血行を良くし、リラックス効果を得られます。

また、苦手でなければアロマセラピーもおすすめです。さまざまな香りの中でも、ラベンダーやカモミールなどは、リラックス効果のある香りだといわれています。

(6)適度な負荷の少ない運動を行う

ウォーキングや軽いランニング、ストレッチやヨガなどは、筋肉をほぐし血流をよくするので、疲労感の軽減に繋がります。また、セロトニンの分泌を促すともいわれています。

朝や就寝前など、自分のライフスタイルに合うタイミングで行ってみてください。

秋バテにはマインドフルネスが良い?その理由は?

高い場所で瞑想をする女性の後ろ姿

秋の不調への対処として、公認心理師の視点からおすすめしたいのが、マインドフルネスです。

マインドフルネスとは、「今、この瞬間に起きている目の前のことに意識を向ける」という心の状態のことです。マインドフルネスは、この時期の移ろいやすい環境の変化によって起きる不調の波を穏やかにし、バランスを取り戻す手助けをしてくれます。

具体的な効果について、いくつかの視点からお話しします。


マインドフルネスとは何かをより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

(1)自律神経が安定する

マインドフルネスの実践として行う瞑想や呼吸法には、自律神経系に働きかけ、交感神経と副交感神経のバランスを整える効果があります。

特に、副交感神経が優位になることで緊張状態が和らぎ、リラックスした状態を保つことができます。

(2)感情のセルフモニタリングが上手になる

気候の変動や日照時間の現象により、秋は感情の浮き沈みが大きくなりやすい季節です。マインドフルネスで、今この瞬間に自分の中に起きている意識を向けることで、感情の波に巻き込まれることなく、自分の中に起きていることを客観的に観察する力を育ててくれます

この過程のことを「セルフモニタリング」と言いますが、セルフモニタリングにより、ストレスや不安を適切に認識し、処理できるようになります。

(3)気づきの感度を高める

マインドフルネスの実践の中に、五感などの身体感覚を通して、周囲や自分自身の中に起きていることへの気づきを高める方法があります。

例えば、くしゃみが増えたり、喉の調子に変化があった時に「あ、風邪を引くかも」と感じることはありませんか?これはまさに、自分の身体感覚への気づきが持てている状態といえるでしょう。

マインドフルネスを習慣化することでいつもの自分の状態と違うことが起きていることへの気づきができると、秋の気温や日照時間の変化により、体や心がストレスを感じやすいこの時期でも、自分の心と体の状態に合わせて必要な行動を取りやすくなります。

(4)ストレスの軽減とレジリエンスの向上

マインドフルネスは、ストレスそのものを完全に取り除いてくれるわけではありません。しかし、マインドフルネスを実践することにより、ストレスに対して過剰に反応することなく、冷静に対処する力(レジリエンス)を養うことができます。

レジリエンスを育むことは、ストレスが蓄積するのを防ぐのに役立ちます。


レジリエンスを高める方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

(5)セロトニンの分泌を促進し、気持ちが明るくなる

日照時間が少なくなる秋は、脳内のセロトニンの分泌が減少し、気分の落ち込みが起こりやすいです。

マインドフルネスで行う瞑想や呼吸法は、セロトニンというホルモンの分泌を促進する効果があるといわれ、気分が安定したり、明るい気持ちにさせてくれます。

秋バテにおすすめのマインドフルネス

オンライン・マインドフルネスサービス「MELONオンライン」では、秋バテでお疲れの心身のケアに役立つ、マインドフルネスのクラスを多数ご用意しています。

秋バテの時におすすめのクラスをいくつかご紹介しますので、日々のセルフケアとして役立ててみてください。

(1)Basic

呼吸を操作せずありのまま観察する、呼吸瞑想を行うクラスです。自律神経やホルモンバランスを整え、脳のリラクゼーションを促進してくれます。

初めてマインドフルネスを行う方にもおすすめです。

(2)Body Scan

ボディスキャン瞑想を行うクラスです。仰向けになって、体の隅々をありのまま観察する瞑想法で、見落としがちな体のサインに気づけるようになります。

さまざまな感覚に対して、嫌がりすぎず受け入れていくことで、寝る前の心身を緩めるのに役立ててみてください。

(3)Mindfulness Yoga

身体の感覚や呼吸に意識を向けながら、ゆったりと動いていくマインドフルネスヨガのクラスです。体の緊張が自然とゆるんでいくことで自律神経の乱れを改善し、心身のバランスを整えるのに役立ちます。

ゆったりと呼吸に合わせて動くことで、気づきの感度を高めたり、自律神経を整えるのに役立ちます。


MELONオンライン」では、ご紹介した以外にも月間300以上のマインドフルネスのクラスが受け放題です。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターから、秋バテに効果的なマインドフルネスの基礎を学べます。

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まとめ|秋バテの改善予防にはマインドフルネスが効果的

今回は、秋バテの正体や、天候の変化が脳のオーバーヒートを引き起こし、メンタル不調につながる可能性があること、そしてその対処法や予防策についてご紹介しました。

また、対処法のひとつとして、マインドフルネスがどのように役立つのか、具体的な方法についてもお伝えしました。

今年の酷暑で蓄積した疲れは、秋バテの原因になりかねません。この秋は、ぜひマインドフルネスの視点を取り入れ、秋バテ予防に取り組んでくださいね。