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扁桃体・前頭前野を鍛える方法とは?マインドフルネス瞑想が効果的な理由

扁桃体・前頭前野

忙しい毎日のなかで、ネガティブな感情に悩まされて「本来の自分を取り戻したい」「感情をコントロールしたい」という思いを持っている方も多いのではないでしょうか。

こうした感情のコントロールには、脳の「扁桃体」と「前頭前野」という2つの部位が重要な役割を果たしていることが最新の脳科学研究で明らかになっています。

そこで今回は、「ストレスを感じる脳の仕組み」と「ストレスに関連する扁桃体や前頭前野の役割」について解説します。

また、扁桃体・前頭前野を鍛えるトレーニングとして効果的なマインドフルネス瞑想についても解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。


「そもそもマインドフルネスって何?」という方は、「マインドフルネスとは?意味・効果・仕組みなど全てを体系的に徹底解説」で詳しく解説しているのでご覧ください。

扁桃体の役割とは?ストレスを感じる仕組みを解説!

扁桃体を示すブロック

扁桃体は感情の発生と処理を担い、前頭前野は理性的な判断と感情の制御を司る脳の器官です。

ここでは扁桃体とその役割について解説します。

扁桃体とは?

扁桃体は、ヒトを含む高等脊椎動物の脳の奥に存在する15〜20mmほどのアーモンド形の神経細胞の集まりです。「情動(感情)反応の処理」と「記憶に主要な役割」を持つ原始的な部位で、主に不安や恐怖を感じる際に活性化することがわかっています。

生命体にとって「恐怖」は、捕食者や危険な環境から身を守るための重要な感情です。しかし、身を守るためにはその経験を記憶し、次回から素早く回避する能力も同様に重要でした。そのため扁桃体は、危険な経験とそれに伴う恐怖の感情を同時に記憶することで、より迅速に危険から遠ざかり生き残れるように進化してきました。

参考:北條 敬(2019).扁桃体と情動-症例S.M.について-.臨床神経心理,30.

ストレスと扁桃体の関係性とは?

現代ではかつての人類が直面していた生存の危機はほぼ解消されていますが、当時とは異なる不安や恐怖と対峙しています。

過去のネガティブな記憶や将来への漠然とした不安が、実際の危機が存在しないにもかかわらず、扁桃体を活性化させているのです。

この慢性的な扁桃体の活性化は、以下のような悪循環を引き起こします。

1.些細な刺激でも過剰に反応するようになる
2.副腎からストレスホルモン(コルチゾール)が分泌される
3.交感神経が緊張し、血圧上昇や発汗などの身体反応が生じる

つまり、現代社会では心理的なストレスが扁桃体を通じて身体的な影響を及ぼす新たな健康課題となっているのです。


扁桃体が過剰に反応する「扁桃体ハイジャック」について詳しく知りたい方は「感情が抑えられなくなる扁桃体ハイジャックとは?対処法を解説」の記事もぜひご覧ください

前頭前野の役割とは?扁桃体との関係性も紹介!

扁桃体について説明するイラスト

情動反応の処理や感情・記憶にとって重要な役割を持つ扁桃体。扁桃体の活動を調節し、感情を理性的にコントロールしているのが脳の前頭前野です。

前頭前野は、考えることはもちろん、さまざまな情報から計画を立てたり、人とコミュニケーションするなど人間特有の高度な行動をとるための役割を担っています。

脳の最高中枢器官「前頭前野」とは?

前頭前野は、脳の前の方にある部分で、人間の思考や行動を司る非常に重要な領域です。いわば、脳の司令塔のようなものです。

前頭前野の主な役割

思考:いろいろな情報を分析したりつなげたりして考える
記憶:短期記憶やワーキングメモリーを司る
想像力:アイデアを出す
感情をコントロールする:状況に合わせて、適切な感情表現ができるように調整する
判断力:さまざまな情報を総合的に考え、物事を決める
言葉:言語理解や表現を考えたり、人とコミュニケーションをとる

感情をコントロールするには前頭前野が欠かせない

人間の脳は「大脳」「小脳」「脳幹」の3つに分類され、前頭前野は脳の大半を占める大脳に位置します。

前頭前野が大脳に占める割合は、進化した哺乳動物ほど大きくなり、ネコで3.5%、イヌで7%、サルで11.5%、チンパンジーで17%であるのに対し、ヒトは29%を占めています。

現代社会では、前頭前野が原始的な欲求や感情をコントロールし、心のバランスを保つ役割になっています。

しかし、前頭前野の活動が低下すると、感情のコントロールがうまくできなくなり、些細な出来事で怒りを爆発させてしまったり、過剰にストレスを感じてしまったりすることがあります

扁桃体・前頭前野を鍛えるトレーニングはマインドフルネス瞑想が効果的!

自然の中でヨガをする女性

前頭前野と扁桃体は、私たちの日常生活において重要な役割を担っています。

特に前頭前野は扁桃体の活動を制御する機能を持っていますが、ストレスに対して弱いという特徴があります。そのため、慢性的なストレスにさらされると、前頭前野の機能が低下し、扁桃体の活動が不安定な状態に陥ってしまいます。

そこでおすすめなのがマインドフルネスです。ここではマインドフルネスと脳の関係について解説します。

参考:ストレスと脳|東邦大学 理学部 生物学科

マインドフルネス瞑想と「前頭前野・扁桃体」の関係とは?

マインドフルネスとは、瞑想を通して行う「脳と心の休息法」のこと。

評価や判断を加えず、意識的に「今この瞬間」に注意を向けることで、普段は意識していない感情や思考に気づけるようになります。

最新の脳科学の研究では、マインドフルネス瞑想を行うことで扁桃体をコントロールする力を高められることが明らかになっています。

参考:Adrienne A Tarenら(2015).Mindfulness meditation training alters stress-related amygdala resting state functional connectivity: a randomized controlled trial.Soc Cogn Affect Neurosci,10,(12).


脳科学からみたマインドフルネスについては「瞑想中に脳で何が起きている?マインドフルネス瞑想の効果を脳科学者が解説!」の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

マインドフルネス瞑想により脳の形が変化!脳科学でも効果が証明されたトレーニング法

ドイツとアメリカの研究チームは、マインドフルネス瞑想(MBSRプログラム)を8週間続けると脳にどのような変化が起こるのかを実験しました。

実験では、マインドフルネス瞑想プログラムに参加した人々の脳の、記憶や感情に関わる海馬をはじめ、自己意識や注意に関わる後部帯状回、側頭頭頂接合部、小脳といった部位の灰白質が増加していました。この結果は、マインドフルネス瞑想が脳の構造を変え、記憶力や感情のコントロールなど、心の健康に良い影響を与える可能性を示唆しています。

このように、マインドフルネス瞑想は脳の構造自体にポジティブな変化をもたらすことが科学的に証明されています。

参考:Britta K Hölzelら(2011).Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density. Psychiatry Res.

まとめ|扁桃体と前頭前野を鍛えて上手に感情をコントロールしよう

今回は、扁桃体や前頭前野の役割や扁桃体・前頭前野を鍛えるトレーニングとして効果的なマインドフルネス瞑想について紹介しました。

今回紹介したほかにも、マインドフルネスを実践することでさまざまなポジティブな効果が科学的に証明されています。


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