マインドフルネス瞑想は睡眠を改善する効果がある?研究事例も紹介!
睡眠の質は、1日のパフォーマンスに大きな影響を与えます。寝不足が原因でミスをしたり、よく眠れないことがストレスになったりと、私たちの生活と密接に関わっています。
近年、「マインドフルネス瞑想」によって睡眠の質が改善できるという研究結果が報告されていることをご存じですか。
今回は、睡眠とマインドフルネスの関係性について、研究事例と共に詳しく解説します。また、寝る前におすすめのマインドフルネス瞑想の方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
「そもそもマインドフルネスとは?」を知りたい方は、詳しく解説している「『マインドフルネス』の意味とは?簡単にわかりやすく解説!」をご覧ください。
良い睡眠を妨げる現代人の悪習慣
厚生労働省のデータによると、日本人の約7割が睡眠に関する悩みを抱えていることが明らかになっています。その原因は、誰にでも経験がある“現代人の悪習慣”が関係しているかもしれません。
ひとり反省会
布団の中で、その日の出来事や言われて嫌だったことを思い出して、ひとり反省会をしていませんか。
「反すう思考」と呼ばれるネガティブな出来事や気持ちを繰り返し思い出す行為は、睡眠に悪影響を与えます。仕事や日常生活の些細なストレスでも、積み重なることで睡眠の質に大きく影響し、「ストレスを受け続けると熟眠感を得にくくなる」といわれています。
例えば心理社会的ストレスと睡眠障害を測定した研究では、睡眠時間の短縮及び睡眠の乱れがストレスレベルを上昇させることが指摘されています。
さらに「睡眠の乱れもストレスとなり、悪循環に陥る可能性があるため注意が必要である」と結論付けられています。
これには、自律神経の乱れが大きく関係しています。ストレスの影響で眠ろうとしている時に交感神経が優位になることで、寝付きにくくなるのです。
寝る前のスマートフォン
寝る前にスマートフォンやパソコンで動画をみたり、ニュースや芸能情報を確認したりするのが日課になっていませんか。
寝る前のスマートフォンは、「光」と「交感神経の活発化」が眠りに影響を与えます。
私たちの体では、自然な眠りを誘う睡眠ホルモン「メラトニン」が、夜間に分泌されます。しかし、スマートフォンの強い光を浴びることで分泌が抑制され、眠気が遠のいてしまうのです。
また、動画や記事といったコンテンツが脳の刺激となり、交感神経が活発化します。寝る時間にスマートフォンを使うことで脳が興奮し、自律神経が乱れる原因につながります。
不規則な生活
平日は睡眠時間が短かったり、食事の時間が寝る直前になったりしていませんか。
急な残業が発生したり、付き合いで飲み会があったりと、規則正しい生活を送れないこともよくありますよね。週末の夜ふかしや、寝溜めが楽しみという人も多いでしょう。
こうした不規則な生活は、睡眠の質に大きく影響します。私たちの体をつかさどる自律神経は、交感神経(活動)と副交感神経(リラックス)が時間帯によって変化しています。
日中は交感神経が活発になり、寝る前は副交感神経がリラックスした状況にしてくれますが、不規則な生活を続けると、体のリズムが狂い自律神経の乱れにつながり、睡眠の質が悪化する原因となります。
自律神経を整えるマインドフルネス瞑想とは?
自律神経を整え、睡眠の質を高める方法として注目を集める「マインドフルネス瞑想」。多くの研究により、自律神経を整える効果やストレスを解消できる効果などがあると科学的に証明されています。
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向けて気づきを得ること。わかりやすく言うと、脳や心を整える方法です。
ストレスやスマホで活性化された交感神経をリラックスさせ、副交感神経が優位になることで、深い睡眠に入りやすくなります。
マインドフルネス瞑想を習慣化すると、不眠の原因となる自律神経の乱れが解消され、睡眠と同様に脳を休めることが意識的にできます。また、睡眠時間自体は短くても睡眠の質や満足感が向上する傾向があります。
以下の記事で、「マインドフルネスの効果」を医療や脳科学の視点から詳しく解説しているので、興味のある方は読んでみてください。
科学的に証明されたマインドフルネス瞑想による睡眠の質改善
世界中で研究が進むマインドフルネス瞑想と睡眠の関係。ここでは、研究事例をいくつかご紹介します。
マインドフルネス瞑想により睡眠に対する満足度が高まる
マインドフルネス瞑想がもたらす影響を調べた無作為化比較試験では、マインドフルネス瞑想を実践した群は、行っていない群と比べてプログラム終了後だけでなく、5〜12か月以上経っても睡眠に対する満足感が継続したという結果になりました。
瞑想の練習をした人はミスと日中の眠気が減少する
睡眠を5時間に制限し、21日間の瞑想トレーニングを受けた人とそうでない人のパフォーマンスの比較を行った研究では、瞑想の練習をした人はPVTテスト(覚醒度・注意力を評価するテスト)においてミスが減少しました。
一方で、瞑想をしなかった群は、PVTのパフォーマンスが著しく悪化し、ミスの減少は見られませんでした。
また、日中の眠気も瞑想をした群では減少しました。
動画で解説!睡眠の効果を高める効果的なマインドフルネス瞑想の方法
それでは、寝る前に効果的なマインドフルネス瞑想の方法を解説します。
文字ではわかりにくいと思いますので、MELONインストラクターによる動画をご覧になりながらぜひ実践してください。
基本のマインドフルネス瞑想
- まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。
- その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。
- 次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる吐く息と吸う息を丁寧に感じましょう。
途中で意識が呼吸から反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。(2)〜(3)を数分間続けます。
ボディスキャン瞑想
- まず横になり身体を布団に預けるようにしながら、自然な呼吸を行います。
- 息を吐くごとに余分な力が抜けていくことを実感して、徐々に腕や足といった身体のパーツ一つ一つをスキャンするように意識を向けます。この際、どのパーツから行ってもかまいません。
- 全身がスキャンできたら、身体全体を意識しながらゆっくりと呼吸を繰り返すようにしましょう。
ボディスキャン瞑想について詳しくは「ボディスキャン瞑想とは?具体的なやり方・得られる効果を解説!」をご覧ください
他の方法も試してみたいと思ったら、「寝ながらでもできるマインドフルネス瞑想」にもぜひ挑戦してください!
まとめ|マインドフルネス瞑想には睡眠を改善する効果がある
マインドフルネス瞑想は、継続して実践すると睡眠改善だけでなく、日々の生活のパフォーマンス向上につながります。
特に就寝前は、習慣にすると睡眠の満足感が高まるだけでなく、日中の眠気やそれによるミスを減少するという研究結果も出ています。
睡眠に不安がある人はぜひ実践して、効果を実感してみてください。
また、以下の記事では今回紹介した以外にも、さまざまなマインドフルネスのやり方を紹介しています。自分のやりやすい形で、日常にマインドフルネスを取り入れてみてはいかがでしょうか。