企業向けマインドフルネス研修の効果5選と選び方のポイント
「離職防止」「生産性の向上」「健康経営」など、企業が解決すべき課題は山ほどあります。
そこで近年、注目されているのが「マインドフルネス」です。
マインドフルネスは、「今この瞬間の経験や思考に、評価や判断をせずに意識的に注意を向けることにより表れる『気づき』」と定義されます。この「気づき」が心身の健康や生産性の向上など企業にうれしいメリットをもたらします。
今回は「気づき」をもたらすマインドフルネス研修の効果や、研修の選び方を詳しく解説していきます。
マインドフルネスとは何かをまず知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
マインドフルネス研修の内容とは?
一般的なマインドフルネス研修は、表にあるような形式で構成されています。形式・内容・フォローアップ体制・効果測定の内容から、各団体のニーズに応じてカスタマイズしていくとより効果を感じられるでしょう。
形式 | ・講師を招いて行う対面型の研修 ・近年ではオンライン形式も増加 |
内容 | ・座学:マインドフルネスの基本的な理論や実践方法 ・実践:参加者自身がその場で実践 |
フォローアップ | ・オンラインアプリで進捗や継続日数などを確認 ・マインドフルネスの継続をサポートするシステム |
効果測定 | ・定量的なアンケート (ストレスレベル・注意力向上など) ・定性的なフィードバック (精神的な健康の改善・コミュニケーションの改善など) |
Googleなど大手企業のマインドフルネス導入事例
世界中の企業でマインドフルネスを取り入れる動きが広がったのは、Googleの取り組みがきっかけといわれています。
Googleは2007年から「個性とリーダーシップの開花」を目的とした「Search Inside Yourself(SIY)」と呼ばれるマインドフルネス瞑想プログラムを社員研修として導入しています。
導入の背景には、マインドフルネスがもたらすさまざまな効果があります。マインドフルネスの実践により、注意力やストレス管理能力、問題解決力が向上し、生産性やコミュニケーションの改善、エンゲージメントの向上につながることが実証されています。
Googleや、大手日本企業でのマインドフルネス導入事例はこちらの記事をご覧ください。
マインドフルネス研修で得られる効果5選
マインドフルネスの導入には職場改善に役立つさまざまなメリットがあります。ここでは5つの効果を紹介します。
(1)従業員の離職率改善
マインドフルネス研修を企業に導入するメリットのひとつは、従業員の離職率の改善が期待できることです。
マインドフルネスによって被験者のストレスと不安が減少することが実証されています。
ストレスが減少し心身が安定することで、精神疾患による休職や退職が減少し、結果として離職率が改善する可能性が高まります。
参考:Emma Warneckeら (2011). A randomised controlled trial of the effects of mindfulness practice on medical student stress levels.medical education, 45, (4).
(2)うつ病や気分障害の予防
近年、日本企業における高ストレス労働者の割合は増加傾向にあり、精神疾患による労災申請件数は過去最高を記録していますが、マインドフルネスはストレス対策に有効とされています。
MBSR(Mindfulness-based Stress Reduction)は、うつ病を含む精神疾患の改善プログラムのひとつで、8週間にわたり瞑想やヨガを実践することで、ストレスに対処し、うまく付き合っていく方法を学びます。
このMBSRの効果を評価したメタ分析によると、MBSRはストレスへの大きな効果があり、不安や抑うつ、身体的な苦痛の軽減に中程度の効果があることが示されています。
参考:令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省
参考:Bassam Khouryら (2015). Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: A meta-analysis. Journal of Psychosomatic Research, 78, (6).
MBSRについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
(3)生産性の向上
企業にマインドフルネスを導入するメリットのひとつは「生産性の向上」です。研究によると、マインドフルネス瞑想には生産性に関わる以下の効果があります。
- 集中力が向上し、より長時間にわたってタスクに集中できるようになる
- 記憶力が向上し、仕事の詳細をよく覚えていられるようになる
- 実験で使用されたストレスフルなタスクに対しても、マインドフルネス瞑想実践者においてはネガティブな感情や疲労の報告が少なかった
なお、これらの効果の背景には、マインドフルネス瞑想の「ストレス軽減」や「感情コントロール能力の向上」効果があると考えられています。
参考:David M. Levyら (2012). The effects of mindfulness meditation training on multitasking in a high-stress information environment. Graphics Interface.
(4)エンゲージメント(愛社精神)の向上
エンゲージメントとは、従業員が職場や仕事に対して強い関与や熱意を持ち、自発的・積極的に取り組むことです。
日本はこのエンゲージメントが低い傾向にあり、ギャラップ社の調査によると、日本企業で「エンゲージメントが高い社員」の割合はわずか5%で、グローバル平均の23%に比べて大幅に低いことがわかります。
エンゲージメントを高めることで、「離職率の軽減」「ストレス管理能力の向上」「生産性の向上」のような効果が期待されるため、積極的に向上すべき指標です。
マインドフルネスによる「集中力の向上」「認知的柔軟性の向上」「ストレスの軽減」などの効果はエンゲージメント向上につながると期待できます。実際に、マインドフルネスがエンゲージメントに密接に関係していることを実証した論文もあります。
参考:2023年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状|GALLUP
参考:Liang Chenら (2022). From mindfulness to work engagement: The mediating roles of work meaningfulness, emotion regulation, and job competence. Frontiers in Psychology,13.
マインドフルネスでエンゲージメントを高める方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
(5)レジリエンスが高まる
マインドフルネスの実践によってストレス対処能力が養われ、レジリエンスの促進につながります。
レジリエンスとは、逆境や困難に直面しても心を折らずに克服する力で、「回復力」ともいわれます。
令和5年時点で、新規学卒者の就職後3年以内の離職率は30%を超えています。その原因として労働環境や人間関係、責任の重さなどが挙げられます。このような状況で、レジリエンスは逆境を乗り越え、離職を防ぐために必要な素養です。
さらに、成長と自律性の促進にも有効です。レジリエンスは失敗から学び、挑戦を恐れずに取り組む姿勢を養います。
参考: 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
参考: 「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の結果を発表|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
マインドフルネス研修によりレジリエンスが向上した事例はこちらの事例をご覧ください。
マインドフルネス研修の導入時に確認したいポイント
マインドフルネスには企業が求めるさまざまな効果があるため、研修として導入する企業が増えてきています。
では、どのような観点で研修プログラムを選べばいいのでしょうか?「マインドフルネス研修」を導入する際に、経営者や人事担当者が確認しておきたいポイントを3つ紹介します。
講師の資格と経験
研修の質は講師の能力に大きく依存します。具体的には、
1:マインドフルネスの公認資格の有無
2:これまでにどのような企業や団体で研修を行った実績があるか
3:過去の参加者のフィードバックや成功事例
の3点を確認するといいでしょう。
資格は、次の資格が一般的に知られている公認資格です。
資格例:
・一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師(一般社団法人マインドフルネス瞑想協会)
・MBSR認定講師(Global Mindfulness Collaborative、ブラウン大学)
これらの要素を確認することで、最適なプログラムを選択し、参加者の学びと成長に貢献することができます。
研修プログラムの内容とカスタマイズ性
研修の内容も重要です。研修プログラムが目的や狙い、求める成果といった自社のニーズを満たしているかどうか確認しましょう。
また、カスタマイズ性の高さも要チェックです。プログラムの長さや形式(オンライン、対面、ハイブリッド)、フォローアップセッションの有無などがカスタマイズ性を確認するうえでのポイントです。
企業の文化や目標に合わせてカスタマイズすることで成果を出しやすくなります。
継続性とフォローアップ体制
早い人ではマインドフルネスを1度実践するだけで気分やモチベーション、睡眠などに効果を感じられます。さらに、一般的に2か月程度実践を続けると、より根本的にマインドセットが変わり、さまざまなシーンに応用できるようになります。
人によっては1回のセッションでは効果を感じられない場合があるので、継続するためのサポートがあるかも確認しましょう。定期的なフォローアップセッションの提供や、オンラインリソースやツールの利用ができるかをチェックすることも、研修の効果を最大化するために重要です。
MELONの「心と感情のスキルを向上させるための研修プログラム」とは?
MELONが提供する「心と感情のスキルを向上させるための研修プログラム」は、メンタルヘルス、レジリエンス、コミュニケーション、心理的安全性の改善に特化したサービスです。組織の課題や目的に応じて、最適な研修プログラムをご提案します。
「結果を出す」ことにフォーカスしたプログラムでは、座学に加えセルフケアツールを活用した実践練習を行い、研修の前後で効果測定を実施することで、研修の成果を可視化します。
その効果は早稲田大学との共同研究で実証済みで、導入企業では2か月でストレス値が平均19%改善しています。高ストレス者からストレスが比較的少ない人まで幅広くサポートし、離職・休職の予防や生産性の向上を実現します。
より詳しい情報やお申し込み方法は、下記の画像バナーをクリックしてご確認ください。
まとめ|マインドフルネス研修で離職・休職予防と生産性を向上を実現
今回は、マインドフルネス研修を企業に導入するメリットや導入時に確認すべきポイントを紹介しました。
マインドフルネス研修を企業に導入すると、従業員の生産性やエンゲージメント、レジリエンスが向上し、企業価値を高めることにつながります。
マインドフルネス研修を導入して、いきいきとした働きやすい職場づくりをしてみませんか?