サウナ瞑想で心身ともにリラックス!具体的なやり方や効果を解説
巷で広く親しまれているサウナ。2019年に放送されたドラマ『サ道』が火付け役となり、「ととのう」はサウナ愛好家だけでなく、サウナの良さを表す言葉として定着しています。
実は、サウナは瞑想と驚くほど相性が良いことをご存じですか?静寂な空間で、デジタルデバイスから離れ、自分自身と深く向き合うことができ、瞑想を集中して行うのに適しているんです。
さらにサウナで得られる深い呼吸は、瞑想の呼吸法と共通点が多く、より深いリラックス状態へと導いてくれます。
今回は、「サウナ瞑想」の効果や具体的なやり方、そして安全に楽しむための注意点まで、詳しく解説していきます。
サウナと瞑想の意外な共通点とは?
一見まったく共通点がないように見えるサウナと瞑想。しかし、知れば知るほど共通点が多いことがわかります。
瞑想は「いまこの瞬間を感じる」というマインドフルな状態を目指すのが目的です。「体の感覚」や「浮かんできた思考や感情」など、評価をせずにありのままを感じていきます。
それに対してサウナは、高温の室内で「体がジワジワ温まる感覚」「汗が流れる感覚」「自分の呼吸」など「いまこの瞬間」に自然と意識が向けられます。
つまり、サウナと瞑想はどちらも「いまこの瞬間」に集中することで、リラックスをもたらすという共通点があるのです。
サウナと瞑想の共通点について詳しく知りたい方は「サウナの「整う」は瞑想でも手に入る?それぞれの共通点とは」を参考にしてください。
サウナでは瞑想がしやすくなる
サウナでの瞑想が効果的な理由は、科学的にも裏付けられています。いわゆる「ととのう」状態のとき、脳のα波が増加し、リラックス状態が促進されていることがわかっています。
これは、瞑想中に現れる脳の状態と似ているため、サウナでの瞑想は、より効果的にリラックス効果を得られるためです。
また、サウナの熱によって、副交感神経が優位になり、心身がリラックス状態になります。この状態もまた、瞑想によって得られる状態と一致しており、それぞれの相乗効果が期待できます。
参考:Ming Changら(2023). A study on neural changes induced by sauna bathing: Neural basis of the “totonou” state. PLoS ONE, 18, (11).
瞑想を習慣化しやすい
上記で説明した通り、サウナは瞑想がしやすい環境です。そのため、「瞑想を継続したいけどなかなか続かない……」という方は、定期的にサウナに通い瞑想を習慣化するといいでしょう。
サウナに週に1回通うだけでも、リフレッシュやストレス低減など十分な効果が期待できます。
サウナ瞑想のすごい効果3選
サウナで瞑想を行うことによってさまざまな効果が得られます。ここでは、サウナ瞑想の主な効果を3つ紹介します。
瞑想で得られる効果については「DMN(デフォルトモードネットワーク)の活動は『マインドフルネス』で抑制できる」の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
(1)冷静さが保たれ、精神が安定する
サウナ瞑想には、不安やストレスを軽減する効果があります。その背景には瞑想によって、人間の脳内にある「扁桃体」という部位が縮小することがあげられます。
マインドフルネス瞑想トレーニングが、情動刺激に対する扁桃体の反応性に及ぼす影響を調べた研究によると、瞑想をした人の脳内では、扁桃体と前頭前野(VMPFC)の機能的接続が強化されることが観察されました。
扁桃体と前頭前野の接続が強化されると、前頭前野が扁桃体の活動をより効果的に抑制できるようになります。つまり感情になりやすい状況においても冷静さを保ち、衝動的な行動を抑えることができるようになるのです。
参考:Kral, T. R. A.ら, (2018). Impact of short- and long-term mindfulness meditation training on amygdala reactivity to emotional stimuli. Neuroimage, 181.
(2)集中力が向上する
サウナで瞑想を行うと、集中力が向上する効果も期待できます。瞑想は、「雑念が出てくる→それを気づいて受け入れる→呼吸や体の感覚に意識を戻す」というプロセスが重要です。
サウナでは、静かで自分の身体以外に何もない環境に身を置くことができます。さらに、いろいろな考えが頭をめぐっても、「熱い」という感覚が常にあるため、身体の感覚に意識を戻しやすい特徴があります。
瞑想のプロセスを繰り返すことで「1点に集中する力」が身につき、次第に何をしている時でも気が散ることなく、1つのことに集中できるようになるのです。
(3)睡眠の質が上がる
サウナで瞑想することで、睡眠の質も高まります。サウナに入るだけでも自律神経が整い睡眠の質を高められますが、瞑想と組み合わせることでさらに高い効果が期待できるでしょう。
サウナで瞑想をすると呼吸が安定し、自律神経のバランスが良くなります。これにより体の強張っている部分や緊張している部分を緩められるのです。その結果、深い睡眠に入りやすくなります。
特にサウナと水風呂に交互に入ると、血流が良くなり自律神経のバランスが整う効果があります。また、脳を休める効果もあるため、睡眠の質や満足度も向上するでしょう。
参考:渡邉まゆみら(2011). 体温、白血球の自律神経支配、エネルギー産生への影響 新温熱刺激−ナノミストサウナ−を用いて. 日温気物医誌, 74巻, 2号.
リラックスできるサウナ瞑想のやり方
サウナ瞑想はどのように行えばいいのでしょうか。ここでは、サウナで瞑想する具体的な方法を解説します。
(1)ひな壇に座って姿勢を整える
まずは、サウナ室に入ってひな壇に座ります。リラックスしながら体の力を抜いて、背筋を伸ばしてください。このときに「頭頂部を天井から糸で引っ張られているような感覚」をイメージしましょう。
目は軽く閉じるか、薄目で一点を見つめておきます。手は膝に置きます。手のひらを上向きにすると、胸が自然と広がり呼吸がしやすくなるでしょう。
この姿勢を保ったまま瞑想に入ります。猫背になってしまうと、空気の入りが悪くなり呼吸がしづらくなるため、なるべく姿勢は伸ばしたままキープしておきましょう。
「瞑想の正しい『姿勢・座り方』とは?あぐらがつらいときの対処法も紹介」では瞑想の座り方・姿勢について詳しく解説していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
(2)自然な呼吸に意識を向ける
次は、自然な呼吸に意識を向けていきます。無理に呼吸をコントロールする必要はありません。普段生活しているときと同様、ありのままの呼吸を行ってください。
「肺に空気が出入りする感覚」「お腹が膨らんでへこむ感覚」「肩が持ち上がって緩む感覚」など、呼吸と共に動く体の感覚に意識を向けましょう。
(3)サウナで温まる体の感覚に意識を向ける
瞑想を続けていると、ジワジワと体が温まってきます。体が温まってきたら、「体の芯から温まっている感覚」や「汗が流れる感覚」など、サウナの暑さによって起こる体の感覚に意識を向けましょう。
また、慣れてきたら心の状態を観察してみるのもおすすめです。これを5〜10分ほど続けます。
(4)雑念が湧いてきたら、そっと体の感覚に意識を戻す
サウナでしばらく瞑想を続けていると、思考や考え事などの雑念が浮かんでくるはずです。また、「熱い」「早く出たい」などの苦痛な感情も出てくるでしょう。しかし、雑念が浮かんでもそれを評価せず、ありのままに受け入れてください。
「〇〇について考えている」「〇〇のことが気になっている」「早く出たいと思っている」と、雑念が浮かんだことに気がついたら、その雑念をそっと手放して、体の感覚に意識を戻しましょう。
「雑念が浮かぶ→それに気づいて受け入れる→呼吸や体の感覚に意識を戻す」
これを何度も繰り返し行うことが、瞑想において大切なポイントです。
(5)水風呂に入って「冷たい感覚」に意識を向ける
サウナ室から出たら、汗を流してから水風呂に1〜2分ほど入ります。水風呂の「冷たい感覚」や「汗腺が引き締まる感覚」に意識を向けましょう。
(6)外気浴で「ととのう」を味わう
水風呂から上がったら、体を拭いて外気浴を行います。この段階で、サウナで「ととのう」といわれている「心身ともに整った感覚」を味わえるでしょう。
目を軽く閉じて、ゆっくりと呼吸をしながら体全体の感覚を意識します。そのまま少しずつ、音や匂い、光、皮膚感覚など、意識を広げていきましょう。
これがサウナ瞑想の一連の流れです。
サウナで瞑想する際の注意点
ここまではサウナ瞑想の効果ややり方について解説しました。実際に始める前に注意しておくべきことがいくつかあります。その中でも重要な3つの注意点を確認しておきましょう。
こまめに水分補給をする
サウナでは大量に汗をかくため、こまめな水分補給が大切です。サウナに入る前にコップ1〜2杯分の水を飲み、サウナに入っている途中もこまめに水分を補給しましょう。
水分をとらずにサウナに入ると、水分が減少して血液の巡りが悪くなります。そうなると、血栓ができる原因にもなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしてしまう場合があります。
また、熱中症になる可能性もあるので注意が必要です。
参考:井奈波良一(2011). 入浴と熱中症. 日温気物医誌, 75巻, 1号.
体調が悪いときは利用を控える
体調が悪いときはサウナに入るのを避けましょう。体調が悪いのに無理して入ると、脱水症状や立ちくらみなどの症状が起こりやすくなります。
また、サウナに無理して入ったことによって体調が悪化してしまう場合もあるので注意しましょう。
なるべく静かに利用できるサウナを選ぶ
サウナと瞑想は驚くほど相性が良いですが、周囲の雑音が多いと効果が薄れてしまいます。
瞑想に慣れてくれば雑音が多くても集中できますが、始めのうちは混んでいるサウナやテレビが設置されているサウナを避けましょう。
サウナ瞑想をより安全に楽しむためのヒント
サウナで瞑想すると、さまざまな効果が期待できます。しかし、サウナは体に負担がかかるのも事実です。特に水風呂に入ると血圧が急激に上昇するため、中にはサウナを利用しないほうがいい場合もあります。
ここでは、サウナ瞑想をより安全に楽しむためのヒントについて解説します。
持病や病気、症状がある場合は控える
特定の病気や症状を抱えている人は、サウナを利用しないほうがいい場合があります。最悪の場合、命に関わる危険もあるので、以下の特徴に当てはまる方はサウナの利用を控えましょう。
- 血圧が高い
- 脳梗塞や心筋梗塞のリスクがある
- 血栓ができたことがある
- 動脈硬化のリスクがある
- 心臓の疾患がある
- 感染症にかかっている
- 合併症を抱えている
サウナに入る前はアルコール摂取を避ける
飲酒をしたあとにサウナに入るのは、大変危険です。アルコールには血管を拡張させる作用があり、飲酒すると血圧が一時的に低下します。その状態でサウナに入ると、さらに血圧が低下し、サウナ内で意識を失ってしまうリスクがあります。
意識を失ったままサウナに長時間入っていると熱中症になり、最悪命に関わる場合もあるので注意しましょう。
参考:小野真平ら(2009). サウナによる顔面重症熱傷の 1 再建例. 日医大医会誌, 5巻, 4号.
妊娠中の女性は使用を控える
妊娠中の女性は、短時間であってもサウナに入ることは控えましょう。
サウナでの急激な体温上昇は、めまいや脱水症状を引き起こす恐れがあり、転倒や体調不良のリスクも高まります。妊娠中は体調の変化が大きいため、通常より体調管理に気を配る必要があります。
さらに、サウナ後の急激な体温低下や水風呂も、赤ちゃんにストレスを与える可能性があります。健やかな妊娠期間を過ごすためにも、サウナの利用は避け、医師に相談の上、マインドフルネス瞑想など安全なリラックス方法を選択することをおすすめします。
参考: Mary Ann Sedgwick Harveyら(1981). Suggested limits to the use of the hot tub and sauna by pregnant women. Canadian Medical Association Journal, 125, (1).
サウナ瞑想におすすめの温泉施設やサウナ専門店を紹介
日本には数多くのサウナがありますが、ここでは厳選しておすすめのサウナを3つ紹介します。3つとも瞑想に最適なので、ぜひ足を運んでみてください。
改良湯(東京都)
「改良湯」は東京都の渋谷駅近くにある、創業100年を超える老舗銭湯です。改良湯のサウナは、温度が約90度で一般的なサウナと比べると温度が低いのが特徴です。洋楽のBGMが静かに流れており、心地の良い空間で瞑想ができます。
花園温泉sauna kukka(大阪府)
2023年7月26日にオープンした東大阪市新町にあるサウナ施設です。予約制の個室プライベートサウナは瞑想に最適です。サウナブームの火付け役とも言えるマンガ『サ道』の原作者タナカカツキ氏が監修した、注目のサウナスポットです。天然温泉で美肌の効果も期待できます。
スカイスパYOKOHAMA(神奈川県)
「スカイスパYOKOHAMA」は横浜駅に直結している人気サウナです。オルゴールの落ち着いたBGMが特徴で、横浜の港の夜景を見ながらリラックスできます。静寂に包まれた空間とアロマの心地よい香りで、瞑想をするのにピッタリのサウナです。
まとめ|サウナ瞑想で疲れた心身をリフレッシュ
今回は、サウナで瞑想する効果や具体的なやり方、注意点などを解説しました。サウナ瞑想は継続しやすい上に、さまざま効果が期待できます。
サウナでの瞑想に慣れてきたら、サウナ以外の場所でも瞑想ができるようになるでしょう。瞑想を始めるきっかけとして、サウナを利用してみてはいかがでしょうか。
また、MELONでは、「MELONオンライン」を提供しており、さまざまな「マインドフルネスのレッスン」をリアルタイムで配信しています。
マインドフルネス初心者の方、やり方が正しいのか不安な方も、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧に分かりやすくレッスンを行うので安心です。
まずは2週間の無料体験から始めてみませんか?