瞑想でうつ病は改善する?マインドフルネスの効果や医療機関の取り組みを紹介
うつ病をはじめとする精神疾患に対し、科学的に効果が実証されているマインドフルネス瞑想。
しかし、「マインドフルネス瞑想って何?」「瞑想するだけで本当にうつ病が改善するの?」など、その効果に疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、公認心理師の資格を持つMELONインストラクターのNaoさんへのインタビューをもとに、マインドフルネス瞑想がうつ病に効果的な理由を解説します。さらに、医療機関でどのように取り入れられているのかや、実践する際の注意点も紹介するのでぜひ参考にしてください。
マインドフルネスとは?
まずは「そもそもマインドフルネスとは何か」を、歴史や基本的な効果を交えつつ解説します。
マインドフルネスとは何か
マインドフルネスとは、簡単にいうと「今この瞬間に評価や判断をせずに意識を向け続ける」ことです。
自分の中にあるさまざまな思考や感情と向き合いながら、今この瞬間に意識を向けることで、ストレス低減や睡眠の質改善などの効果があると科学的に証明されています。
なお、瞑想は「マインドフルな心の状態」を作るための練習の一つであるのに対し、マインドフルネスには瞑想に限らずさまざまな実践方法があります。
本記事では、マインドフルな心のあり方をトレーニングする瞑想法を「マインドフルネス瞑想」と表現しています。
「マインドフルネスの意味とは?簡単にわかりやすく解説!」では、マインドフルネスと瞑想の違いを詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
マインドフルネスとは何かについては、以下の記事で詳しく説明しています。
マインドフルネスの歴史
マインドフルネスは、元々仏教の修行体系の一部だったパーリ語「サティ(Sati)」の英訳です。サティとは仏教の修行体系の一部で、「覚えていること、心にとどめておくこと、記憶しておくこと、思い出すこと」を意味します。
仏教に起源を持つマインドフルネスを現代に普及させたのは、マサチューセッツ工科大学医学部の名誉教授であるジョン・カバットジン博士です。仏教瞑想やヨガを自ら実践し、その効果を実感したことで、これを医療に役立てられないかと考え、1979年に「マインドフルネスに基づくストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction, MBSR)」を確立しました。
その後、医学的な観点からマインドフルネスの効果が科学的に実証されるようになり、世界中に広がっていきました。
マインドフルネスの歴史についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
マインドフルネス瞑想の基本的な効果
マインドフルネス瞑想を実践し「今ここ」に集中する練習をすることで、次のような効果を得られます。
・集中力・記憶力が高まる
・不安やストレスを軽減する
・共感力・EQが高まる
・睡眠の質が高まる
・自己肯定感が高まる
実際にさまざまな研究によって、これらの効果が実証されています。
以下の記事ではマインドフルネス瞑想の効果についてさらに詳しく解説しています。
医療現場で活用されるマインドフルネス瞑想とは
マインドフルネス瞑想は近年、うつ病などの精神疾患の治療の一環として医療機関でも取り入れられており、精神科の外来、デイケア、入院治療のプログラム、リワークプログラムの一つとしても注目されてます。
ここでは、医療現場においてマインドフルネス瞑想がどう役立てられているのかを紹介します。
医療現場で行われるMBSR(マインドフルネスに基づくストレス低減法)とは
医療現場では、MBSR(マインドフルネスに基づくストレス低減法)が多く取り入れられています。MBSRは、うつ症状の改善や慢性疼痛の軽減といった効果が科学的に実証されているプログラムです。
具体的には、8週間で静坐(せいざ)瞑想、食べる瞑想、歩行瞑想、ヨガ、ボディスキャン瞑想、呼吸法などさまざまなマインドフルネスの手法を学び、自宅でも毎日45分実践してじっくり自分と向き合います。
参考:春木 豊ら(2008).「マインドフルネスに基づくストレス低減プログラム」の健康心理学への応用. 健康心理学研究, 21巻, 2号.
MBSRの内容や効果については、以下の記事で詳しく解説しています。
マインドフルネス瞑想がうつ病の治療に効果的な理由
うつ病の症状の一つとして、ネガティブな思考に偏りやすくなることが挙げられます。ネガティブな思考に囚われると気持ちの切り替えがうまくいかなくなり、その思考が頭の中で繰り返されてしまいます。
しかし、マインドフルネス瞑想を実践し「今ここ」に意識を向けることで、思考を客観視し距離を置くことができるようになり、ネガティブな思考が繰り返される反すう思考が軽減できることがわかっています。
反すう思考が軽減することで、うつ症状の改善や再発予防につながるといわれています。
こちらの記事では、うつ病や不安障害への治療効果を含むマインドフルネス瞑想の効果を研究を基に紹介しています。
マインドフルネス瞑想はうつ病以外の精神疾患も改善する?
マインドフルネスはうつ病に限らず、不安症群、摂食障害、不眠症、適応障害などの精神疾患にも効果があるとされています。
しかし、基本的には「この疾患だからマインドフルネスが適する・適さない」ということはなく、個人の疾患の状態に合わせて行うことが大切です。
また、精神疾患の症状がある場合は、必ず医師と相談してから行いましょう
こちらの記事では、不安障害に対するマインドフルネス瞑想の効果を解説しています。
マインドフルネス瞑想がうつ病を悪化させる危険性は?
マインドフルネスは基本的に安全ですが、場合によっては精神疾患に影響を及ぼす可能性があります。
例えば「重度のうつ病」や「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」などの疾患を抱えている場合、マインドフルネス瞑想で自分の思考を観察することでトラウマ体験がフラッシュバックし、症状が悪化する場合があります。
もし、マインドフルネスを実践して不安が強まってしまった方は速やかに医療機関に相談することをおすすめします。
マインドフルネスを実践する際に注意が必要な人については、こちらの記事で詳しく解説しています。
うつ病の人がマインドフルネスを行う際の注意点
うつ病の人がマインドフルネス瞑想を行う場合、注意すべきことがいくつかあります。
ここでは、その中でも特に気をつけてほしいポイントを解説します。
医療機関と相談してから行う
前述のとおり、精神疾患をお持ちの方は症状が悪化してしまう可能性があるため、自己判断でマインドフルネス瞑想を行うのはおすすめしません。
マインドフルネス瞑想を始める前に、医師と相談してマインドフルネス瞑想を安全に行える状態なのかを必ず確認しましょう。
医師が「今は休むことが大切」だと判断した場合には、マインドフルネス瞑想などの心のトレーニングはお休みをして、療養に専念した方が良い場合もあります。
焦らず、個人の状態に合わせて行っていきましょう。
無理して頑張ろうとしない
元々うつ病は真面目な人がなりやすいともいわれており、うつ病の人がマインドフルネス瞑想を実践すると、頑張りすぎて疲れてしまう場合があります。
マインドフルネス瞑想は無理して行うものではないため、頑張りすぎるとむしろ効果が十分に得られないことがあります。
そのため、無理して頑張ろうとせずに、無理のない範囲でマインドフルネスを実践することが大切です。
例えば「ご飯の最初の一口をマインドフルに味わう」だけでも、立派なマインドフルネスのトレーニングになりますよ。
以下の記事では、日常でできるさまざまなマインドフルネスのやり方を紹介しています。ぜひ自分が取り入れやすい瞑想法を実践してみてください。
マインドフルネス瞑想は医療従事者の方にもおすすめ
患者さんへのケアを行うことで共感疲労が蓄積されがちな医療従事者の燃え尽き症候群の予防にも、マインドフルネス瞑想が効果的といわれています。
さらに、適切に自分をケアしてあげることで、患者さんにもより良いケアを提供できるようになるため、医療従事者や介護職など、対人援助職の方々にマインドフルネスはおすすめです。
MELONでは、「医療機関へのマインドフルネスプログラムの提供」や「医療機関・カウンセラーの方を対象としたオンライン・マインドフルネスサービスの無償提供」などを行っています。
詳しい内容は以下の記事に記載してありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
まとめ|マインドフルネスを適切に取り入れてうつ病の改善を目指そう
今回は、マインドフルネスがうつ病の治療に効果的な理由や、実践する際の注意点を詳しく紹介しました。
マインドフルネスは、日々を幸せで充実した毎日に変えるセルフケアです。うつ病などの精神疾患への治療効果も認められているので、無理せず、必要に応じて医療機関で相談しながら実践してみてくださいね。
マインドフルネスを実践してみたいけど、一人で始めるのは少し不安という方もご安心ください。MELONでは、オンライン・マインドフルネスサービス「MELON オンライン」を提供しています。
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