リモートワークの課題と従業員の「セルフケア」方法5選
「リモートワークを導入したものの、従業員のメンタル面や業務効率に課題を感じている」
「在宅勤務で孤独感が増し、生産性に影響が出ている」
こうした悩みを抱える企業のバックオフィス担当者や管理職の方も、多いのではないでしょうか。
リモートワークは通勤時間の短縮や柔軟な働き方の実現など、従業員にとって多くのメリットがあります。しかし同時に、仕事とプライベートの境界が曖昧になることや、コミュニケーション不足によるストレスなど、特有の課題も生じます。
本記事ではリモートワークにおける課題を整理し、従業員に促すべき「セルフケア」の具体的な方法を解説します。
リモートワークの課題・デメリットとは?
コロナ禍で急速に普及したリモートワーク。2024年11月に発表された日経BPの調査では、回答者の33.9%が週3日程度のリモートワークを行っていると答えました。
通勤時間やオフィスの光熱費の削減といったメリットに着目されることが多い一方で、リモートワークには課題やデメリットもあります。
ここでは、リモートワークの課題とデメリットを、従業員サイドと管理者サイドの両面から解説します。
参考:在宅勤務率下落も一定水準 「働き方改革に関する動向・意識調査」を総合研究所 イノベーションICTラボが発表|日経BP
従業員サイドの課題・デメリット
厚生労働省が行った在宅ワークに関する調査によると、従業員の多くが在宅ワークに対して、以下の課題やデメリットを感じていることが明らかになっています。
・仕事と自分時間の線引きが難しい
・運動不足
・コミュニケーションの機会が減った
・備品の不足
家の中で仕事を完結できるリモートワークは、一見効率的に見えますが、職場と自宅の区別がつかなくなり、休息をとるタイミングを逃しがちです。また外に出る機会が減り、運動不足を不安視する声も多くあります。
職場での日常的な会話やちょっとした雑談がなくなることで、孤立感を抱える従業員も少なくありません。
さらに、自宅での作業環境が整備されておらず、作業の効率化が実現できていないケースもあります。
これらの課題は、メンタルヘルスの低下や生産性の停滞を引き起こす原因となります。
参考:テレワークを巡る現状について|厚生労働省
管理者サイドの課題・デメリット
リモートワークの課題は、従業員だけでなく管理者職にとっても悩みの種です。
以下は、労働市場の調査・研究を行う「パーソル総合研究所」が明らかにした、多くの管理者が抱える、リモートワークにおける課題です。
・部下とのコミュニケーションの不足
・進捗状態の把握がしにくい
リモートワークでは部下と直接顔を合わせる機会が減少することから、悩みや仕事の状況などを把握しにくくなり、指導やフォローが不十分になるケースも増えています。また、プロジェクトの進捗状況が見えにくいため、タスクの優先順位や締切の管理が困難になりがちです。
参考:テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査|パーソル総合研究所
企業が取り入れるリモートワークのセルフケア方法
リモートワークにおける課題を解決するには、従業員一人ひとりにセルフケアを促すことが重要です。
ここからは、企業が取り入れるリモートワークのセルフケア方法を解説します。
セルフケアの必要性については、「悪化し続けている、働く人のメンタルヘルス。企業が「セルフケア」の効果を高めるには?」にて、解説しています。ぜひ、参考にしてください。
目標の設定
リモートワークの業務に目標を設定することで、従業員は集中力を保ちやすくなり、限られた時間内で効率的にタスクを進めることができます。
また、目標を達成し充足感や自己肯定感を得ることができれば、仕事へのモチベーションも向上し、次のタスクにも前向きに取り組む姿勢が生まれます。
ただしリモートワーク業務に目標を設定する場合は、時間内に達成可能な目標であることが重要です。設定された業務時間内に達成できない目標では、従業員の負担やストレスが増す可能性があります。
そのため管理者は従業員の個々の能力や状況を把握し、適切な目標設定をサポートする必要があります。
参考:目標設定はなぜ重要?明確なビジネス目標設定のコツを紹介|Asana
軽い運動の時間を業務に取り入れる
リモートワーク中は外に出る機会が少ないことから、運動不足になりがちです。
運動は健康維持だけでなく、気持ちをリラックスさせる神経伝達物資を発現させる効果もあります。従業員の心身の健康を促すために、リモートワーク業務のうちの1つとして、軽い運動の時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。
たとえば、オンラインミーティングの前後に簡単なストレッチを取り入れることで、心身のリフレッシュを図ることができます。集中力が切れやすい午後に、簡単な体操の時間を設けることも効果的です。
リモートワークにおける従業員の運動不足を解消するには、企業が運動の時間を奨励し、従業員が参加しやすい仕組みを整えることが重要です。
参考:河合克尚 (2022). 身体活動の効果と心身健康科学. 心身健康科学, 18巻, 2号.
参考:山本大誠 (2011). 身体運動によるストレスへの対策. バイオメカニズム学会誌, 35巻, 1号.
コミュニケーション環境を整える
感情の変化について調べた研究では、他者とのコミュニケーションは自己肯定感を高め、自分の感情を理解する助けとなることが判明しています。
しかしリモートワークの環境下では、従業員同士のコミュニケーションは減少しがちです。従業員の生産性や健全な職場環境を維持するためにも、企業が従業員同士のコミュニケーションの場を、積極的に提供することが重要です。
オンラインミーティングや部下と上司の1on1ミーティング、作業会や雑談会などを定期的に開催することで、従業員の孤独感や不安感を低減できます。
参考:水野雅之 (2015). 自尊感情と心理的健康との関連再考:「恩恵享受的自己感」の概念提起. 帝塚山大学心理学部紀要, 1巻.
作業環境を整備する
業務の快適性は、作業環境の整備に大きく左右されます。しかし自宅では必要な備品が十分に揃っておらず、業務の効率化の低下に悩む従業員も少なくありません。
厚生労働省のガイドラインを参考に、快適なテレワーク環境を整えるための具体的なアドバイスを企業内で共有することが有効です。リラックスを促すアイテムや運動不足を解消する製品など、業務に直接関わりのない備品も、リモートワークの状況によっては導入を検討することが重要です。
また、備品の購入費用を企業が負担する仕組みを導入することで、従業員の負担を軽減し、満足度の向上につながります。
マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスは、リモートワークにおける従業員のストレス軽減と、心の健康を促進するために効果的な手段です。
呼吸や瞑想を通じて自己認識を深めることで、感情や優先するべきことの整理がスムーズに進みます。また、マインドフルネスを実践することで集中力が高まり、業務の質が向上することも期待できます。
マインドフルネスは継続することで、より高い効果を得られます。従業員の心のケアを促すセルフケアとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ|リモートワーク中のセルフケアが仕事の効率向上につながる
リモートワークの課題に対処するには、従業員自身がセルフケアを行うだけでなく、企業が積極的にサポートする仕組みを整えることが重要です。
目標設定や運動、快適な作業環境の整備、コミュニケーションの場の提供、さらにはマインドフルネスの導入など、さまざまな改善策を組み合わせることで、従業員のストレスを軽減し、生産性の向上を実現できます。
本記事で解説した内容を参考にし、従業員が安心して働けるリモートワーク環境を構築し、企業全体の成長につなげていきましょう。
マインドフルネスの効果ややり方は、「マインドフルネスとは?意味・効果・仕組みなど全てを体系的に徹底解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。