法人

離職・休職を未然に防ぐために有効なセルフケア。企業が従業員に促すにはどうする?

セルフケア

言葉としては普段から耳にすることの多い​​「セルフケア」。

文字通りどうしても“自主性”に任せきりになってしまいがちですが、昔に比べて情報化や競争がより激しくなり、人材の流動化も進んでいる今、従業員一人ひとりのストレスを減らし、離職や休職を防ぐためには企業としてセルフケアをサポートする取り組みがより重要になってきています。

今回は弊社株式会社MELON代表の橋本に、働く上でセルフケアがなぜ必要なのか、そして従業員にセルフケアを促すために大切なことについて話を聞きました。従業員の定着率が課題の人事担当の方、企業の健康経営担当の方などはぜひご覧ください。

退職理由の8割はストレスに関係している!?

会社のデスクで悩んでいる男性のシルエット

──今回はセルフケアをテーマに、職場の離職・休職という観点からお伺いしたいのですが、まず「セルフケアとは?」というところから教えてください。

セルフケアというのは、広義な意味で心と体のケアを自分自身でやることです。セルフケアの具体的な方法はいろいろあって、もちろんマインドフルネスもそのひとつですが、軽く運動する、朝起きて日光を浴びる、規則正しく生活するといった日々のちょっとした生活習慣も、セルフケアに含まれます。

ではなぜセルフケアが必要なのかというと、ストレスを減らすためですよね。セルフケアをすればストレスが軽くなって休職、退職のリスクが下がる、というのが基本的な考え方の流れです。

──今ストレスというワードが出ましたが、退職理由の多くの原因はストレスに関係していると聞きました。

会社を辞める原因の8割はなんらかの形でストレスに関係していると言われているそうです。

もちろん退職の理由としては他に条件のいい会社がある、成長できそうな会社があるなどもあるとは思いますが、いくつかある退職理由のひとつに職場でのストレスが含まれている割合が8割というデータがあるので、離職や退職にはストレスが大きな原因になっているのは明らかだと思います。

特に今問題になっているのは心やメンタルのストレスによる休職や退職なので、職場の定着率を上げるために、セルフケアはますます重要になってきているのではないでしょうか。

──職場のストレスを軽減するには、どういった方法が適しているのでしょうか。

ストレスの改善には大きく二つのアプローチ方法があり、一つはストレッサーと呼ばれるストレスの根源を取り除くことが挙げられます。ストレス源は嫌な上司かもしれないし、膨大な仕事量かもしれないし、昼夜逆転の業務かもしれない。原因は人それぞれいろいろあると思いますが、このストレッサーのコントロールというのがまず重要なことの一つです。

そしてもう一つが今回のテーマのセルフケアになります。「セルフケアをする前に、まずストレスの原因を取り除かなければいけない」と考えられる方も多いのですが、ストレッサーのコントロールとセルフケアは両方同時にできることなので、両方やることが必要だと思います。

従業員にセルフケアを促すために企業ができることとは?

オフィスのデスクで窓の外を眺める男性の後ろ姿

──セルフケアとは、「心と体のケアを自分ですること」とありましたが、従業員にセルフケアを促すためのコツはありますか?

「馬を水辺に連れて行っても水を飲ませることはできない」という言葉がありますが、まさにセルフケアを象徴する言葉だなと思っていて。要するに馬を水場に連れて行くことはできるけれど、強引に飲ませることはできない。つまりセルフケアはあくまでも能動的にやることなので、強制はできないですよね。

そこで企業として何ができるかというと、馬を水辺に連れて行き、水の飲み方を教えることです。あるときは草のある場所に連れて行くことかもしれないし、何かリラックスできるような場所に連れて行くことかもしれませんが、とにかく使い方や食べ方を教えるということはできるわけです。

一方で水場を知らない馬がいるように、ストレスがあるのにそもそも自分でストレスがあることに気づいていなかったり、ストレスケアの方法を知らない従業員の方も結構いると思います。知識がなかったらそれは改善のしようがないですよね。

セルフケアにはたくさんのやり方があるので、やはりセルフケアの方法を研修で継続的に教えていくことがとても重要だと思います。もちろんセルフケアをやるやらないは個人の自由ですが、そもそも方法を知らなければその人はセルフケアできないので、知識としてノウハウを伝えていくことはすごく大切です。

──最近は企業によるセルフケアに関する研修も増えているのでしょうか?

エクササイズのような実際に体を動かすトレーニングや睡眠に関する研修、メンタルヘルス研修やMELONがやっているようなマインドフルネス研修は少しずつ広がってはいると思います。ただ、セルフケアを促すための研修はまだ少ないのが現状ではないでしょうか。

これまでの企業のストレスに対する考え方は基本的に自己責任でしたよね。弱肉強食というか、ストレスに強い人たち、生き残れる人たちが会社に残ってくれればいいし、辞めたらまた採用すればいいという考え方が主流だった気がします。ただ、今は昔に比べて情報化や競争が進んでいることなどにより、そもそものストレッサーが増えていて、もはやストレス源を取り除ききれなくなっています。

また、人材の流動化が進んでいて、ストレスが溜まる職場で無理をしてまで働き続ける必要がなくなってきました。これは働き手にとってはすごくいいことですが、今までの労使の立場が逆転しつつあって、会社側は選別されるように変わってきています。このような背景で時給が上がったり、福利厚生や職場環境の改善が人材獲得競争の中で促されているというのが、構造的な大きな変化としてあります。

──具体的にどんなセルフケアがいい、ということはありますか?

人それぞれいろんな課題があって悩みの理由もたくさんあるので、何か一つこれがいい!というものはないと思います。それよりもセルフケアにはいろいろな方法があるので、それぞれの人の課題に合った自分にふさわしい選択肢を選べる環境作りがすごく重要だと思っています。

もちろんマインドフルネスもそのうちの一つで、かなり幅広くさまざまな課題の解決にはなりますが、マインドフルネスだけですべてのストレスが解決するわけではありません。中には禁煙プログラムが必要な人もいるかもしれないし、ダイエットプログラムや睡眠改善プログラムが必要な人もいるかもしれない。セルフケアに関するさまざまなアプローチ方法を常に手元にある状態を作っている会社が、今の時代のいい会社なのではないかと思います。

それともう一つ重要なことがあります。それはただ選択肢を並べておくだけでなく、定期的なセミナーを継続的に打つなど、啓蒙を1回切りで諦めるのではなくずっと走らせ続けるということです。ワンショットやってそれで全部解決ということはないので、根気よく継続し続けることが行動変容を促す上で重要だと思います。

従業員のセルフケアは、会社の規模に関わらず取り組めるはず

ベンチで深呼吸している女性

──従業員のセルフケアの選択肢を十分に用意できる企業というのはやはりある程度の余裕のある、大企業でないと難しいような気もします……。

確かに余裕のある大企業の方が導入はしやすいかもしれませんが、小規模の会社だったりスタートアップのような会社でも、やろうと思えばできることはあると思います。

MELONのお客様の中に美容室を経営している会社がいらっしゃるのですが、その会社はMELONの法人向けプログラムを毎月やってくれているんですよ。従業員の皆さんが集まる会議の中で、15分ほどですが毎回必ずマインドフルネスを取り入れることで、従業員の皆さんのセルフケアのひとつとしてマインドフルネスをインプットしているんです。

リアルとオンライン両方のケースがありますが、とにかく継続してやっているので、従業員の皆さんはみんなマインドフルネスのことを知っています。もちろん全員が毎日マインドフルネスをやっているわけではないと思いますが、ストレスを減らす一つの手段として皆さんの頭の中にマインドフルネスがインストールされているんですね。

まさに水の飲み方をみんな知っている状態なので、ちょっとストレスが溜まってきたら自分でケアできる状態になっているんです。社長さんが新しいものを積極的に取り入れるタイプの方なのですが、美容室でそんなことをやっているところはまだほとんどないのではないかと思います。

また、成長しているスタートアップの会社もMELONのプログラムを取り入れて、ストレスケアに積極的に取り組まれていたりします。このように規模に関わらず、大きくても小さくてもやろうと思えばできるはずです。

従業員も経営者も。長く働き続けるために「セルフケア」は全ての人にとって必要なこと

オフィスで談笑しながら歩いている社員たち

──会社の中では弱さを見せてはいけないといったような意識もまだまだ根強いように感じます。

自分としては、経営者の立場としてもセルフケアをする義務があると感じています。なぜなら自分が潰れたら会社がダメになってしまうので。仕事ってマラソンのようにずっと走り続けるものなので、経営者だけでなく、本来働く人すべてがセルフケアを継続的にやる必要があるはずなんです。

車に例えると分かりやすいと思うのですが、車で走っていてエンジンから変な音がしたり変な匂いがしたら絶対に止まるじゃないですか。でも働いている人はほとんど止まらないんですよね。止まることが怖いし悪いことだと思い込んでいるので、不調が来ていても一生懸命アクセルをふかしているような状態で、要するに明らかにパフォーマンスが落ちているのにセルフケアをせず走るわけです。

でもビジネスパーソンとしては、パフォーマンスを継続的に出していくには、時には車を降りてメンテナンスをする必要がありますよね。弱いとかサボっていると見られるのが怖いかもしれないけれど、実はむしろ逆で、早めにケアをしてなるべく早く本来のパフォーマンスに戻す方が本人にとっても会社にとっても当然いいはずです。

セルフケアをするなんて弱い、みたいな考え方は時代錯誤で、これからの時代、会社が中長期的に成功していくためには、そこで働く人たちが健康で幸せで長く働ける環境づくりを建前ではなく本気でやることが不可欠ではないでしょうか。


従業員セルフケアにマインドフルネスを取り入れるなら「MELONオンライン」法人定額プラン

法人向け基本プランの画像

今回のインタビューにも出てきた通り、従業員のセルフケアにマインドフルネスの導入は幅広い解決に効果的です。MELONではマインドフルネスの法人プログラムをご用意しています。

医療機関にて復職リワークプログラムとして提供してきたノウハウを活かし、月額定額で従業員の方のストレスケアを行い、高ストレス者の対策、要注意者のメンタルケア予防、プレゼンティーイズムの改善に寄与します。(早稲田大学との研究で効果を実証

企業の中では高ストレス者に産業医やカウンセリングを紹介する対処療法的な対策が主となっていますが、産業医やカウンセリングが有効に活用されていないのが現状です。

そこで、MELONのプログラムをご提供することで、月額定額の低価格で確実に従業員の方のストレスをケアし、高ストレス者、休職を余儀なくされてしまう方の予防から改善まで対応することができます。

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