イベントレポート

マインドフルネス for SDGs パネルディスカッション「科学的な心のトレーニングで実現する持続可能な社会」にて代表 橋本がパネラーとして登壇

マインドフルネス for SDGs イベント パネルディスカッション

マインドフルネス for SDGs パネルディスカッション「科学的な心のトレーニングで実現する持続可能な社会」にて代表の橋本がパネラーとして登壇いたしました。

パネルディスカッションでは、マインドフルネスとの出会いと現在の活動、マインドフルネスによる個人や組織にもたらされる変化、マインドフルネスの始め方、SDGsにおけるマインドフルネスの意義や役割、最先端アメリカでのマインドフルネスの様子、それぞれの今後のビジョンや夢などが紹介されました。それら一部をレポートさせていただきます。


イベント登壇者

<パネリスト>
山田 匡通氏 イトーキ代表取締役会長/GlobalTreehouse 共同創業者・取締役
吉田 真太氏 ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン共同創業者 取締役
橋本 大佑 MELON代表取締役社長
SHIHO氏 モデル/滋賀国際親善大使

<コーディネーター>
川上 穣 日本経済新聞社 NIKKEI Financial 副編集長

マインドフルネス for SDGs 講演レポート

マインドフルネスの実践によって個人や組織にもたらされる変化

橋本 大佑(以下、橋本) : 2019年日本で開催されたラグビーワールドカップの時に、イングランド代表チームのマネージャーから準決勝、オールブラックス(ニュージーランド代表)と戦う前に「心を落ち着けたい」ということでマインドフルネスの依頼がありました。

これはマインドフルネスだけが結果に結びつくというわけではなく、すべての準備を整えた最後に心を整え、パフォーマンスを発揮することが大切だということです。スポーツの厳しい世界ではそれで勝負が分かれるということを理解されていて、普段からもイングランド代表チームは実践していたようです。結果として、オールブラックスに勝つことが出来ました。

マインドフルネスはひとりでもできますが、やはりチームでやる意味、組織でやる意味が大きいと思っています。

1戦をかけて望む時に、みんなで一緒に座ることの意義、一体感を味わわせるという意味でも組織でやるというのは、副次的な効果というよりむしろそちらのほうが大切なのではないかと思っています。


吉田 真太氏(以下、吉田氏) : チームでマインドフルネスをやる効果というのは大きく二つのエビデンスから証明されてまして、1つはチームを構成する個々のストレスが下がっていくということ、もう1つは私自身がハッピーであるということが組織のアウトプットに繋がっていくということです。

海外のある実験で、ブレインストーミングをする前に10分間のマインドフルネス瞑想したグループと別のことをしたグループの比較対照実験というのをやりました。

その結果、ブレインストーミングのアイディアのジャンルの数がマインドフルネス瞑想したグループの方が1.8倍多いことがわかりました。

ジャンルの数というのが重要で、アイデアを広げていくということがイノベーションを作っていくということになります。

マインドフルネスで心理的な安全性が担保されることによって新しいアイデアが自分の中で出てきやすくなり、そのアイデアを外に発言することを押しとどめる心の檻、心の鍵も外れやすくなります。

その結果、チームワークとして新しいポジティブなアイデアが出てくる、これがチームでマインドフルネスをやる意味だと思います。


山田 匡通氏(以下、山田氏) : マーク・ベニオフ、ラリー・エリソン、スティーブ・ジョブズら著名な経営者は非常に熱心に瞑想をやっています。瞑想から出てくるのは、結局自他の対立というものが薄まっていくということです。

ストレスを感じたときにその原因を探っていくと、必ずどこかで自分と他人の関係に行き着きます。それはなぜかというと、我々の存在の本質というは実はひとつの生命体であるということです。

これは禅が発見した世界ですが、自分の命の活動は、辿っていくと結局地球の活動、地球と太陽の活動、銀河系の活動、宇宙の活動に行き着く、つまり生命体の活動は分けられないんですね。

その禅の世界に気付く気付かないに関わらず、マインドフルネス、マインドフィットネス、禅の瞑想を実践すると次第にその世界に近づいていく、だから気持ち良くなってくるということです。

それは境目のある世界から一つの世界に近づく、自分の本質、自分の本当の姿に近づくからというのが私の見方です。


SHIHO氏 : 私にとって瞑想やマインドフルネスは、普段意識しているものから意識を外して、無意識なものに意識を向けていくという時間にしています。まずは呼吸だったり、心臓だったり、内臓の動きだったり、生きる根源に意識を向けていくことを実践しています。

生命の営みは自分の意識では止められず、無意識に始まっています。広い生命体の視点から見ると、海だったり、月だったり、地球が動いていたり、自分たちの意志とは関係ないものが動いています。

そう考えていくと自分が意識しているものが個の意識ではなくて全体の中の意識、全体の中で自分が存在しているんだということに行き着き、私達は生きているんじゃなくて生かされていることに気付きます。

そうすると、生かされていることに感謝の気持ちだったり、生命体の中の一部として存在している自分の謙虚に生きる姿勢だったり、本当に人間の本質に気付いていきます。

そこに気付くことができると、一番最初にあったはずの自分の悩み事がいつの間にか消えて、どうでもよいことになり、心の中が平和な感覚、静かな感覚が生まれます

本を見たり、話を聞いたりしていても頭でしか認識できないけれど、実際に目をつぶったり、実践が伴うと、不思議と体や心で感じることができると思っています。

瞑想やマインドフルネスを通して心が変わると行動が変わるのにつがなっていくと感じています。

マインドフルネスを始める時のアドバイス

SHIHO氏 : 簡単な方法でいうと、何かをしようとするのではなく、目をつぶり、ただそこにあるというのを認識するだけでもよいと思います。

もう1つのアプローチとしては音が効果的ではないかと思っています。

リラックスするような音を聞いてるだけで、音やその振動が必ず細胞に伝わって、自分の見えない部分、中身に必ず何かしら届いているので、自分の頭や心が理解しなくても体の奥の本質の部分だったり、細胞の奥の奥は音を通して繋がるんじゃないかなと思います。


吉田氏 : 新しい物事を始める時にとっかかりが必要ですよね。いろんなものを試してみるということが敷居を下げることになると思うので、私達のオンラインレッスンも色々な先生にいろんなやり方で習えるようにしています。

座る瞑想だけでなく、簡単なヨガや自分の体をセルフマッサージもあります。これも自分の身体感覚に気付くという一つのマインドフルネスの実践なんですね。

私たちの感覚には外部受容感覚という音が聞こえるとか見えるとか五感に基づく感覚だけではなくて、自己受容感覚というのがあります。この自己受容感覚は、自分の体が今こういう状態でここに手があって足があってこんな状態なんだなというものです。

さらに、いま自分の内臓はどんな感じなんだろうか心臓はどんな風に動いてるんだろうかという内部受容感覚もあります。

このような様々な感覚に意識を向けるということもマインドフルネス瞑想の実践です。

十人十色、皆さんにフィットするマインドフルネス瞑想のやり方や日常での実践の仕方は1つじゃないと思いますので、色々なニーズや色々な習熟度に合わせたものを様々に用意することで、少しでも敷居が低くなってとっつきやすく続けていただければと思います。


橋本 : 皆様もご関心があってこのセミナーに参加されていると思いますが、とにかく実践をして自分が体験していく、自分が変わっていくということにしか意味がないと思っています。

知識として瞑想やマインドフルネスの効果を知るということは、例えば、筋トレの仕方を知ってるとか、栄養学について知ってるということと同じだと思うんですね。

筋トレをやって体型を維持するとか、正しい食生活を実践して自分の体調を整えるということに意味があるので、とにかくマインドフルネスを実践して頂きたいというのが私個人の思いです。


山田氏 : 禅の世界は理屈ではなく実践して自分が体験していくという世界なんです。マインドフィットネスの実践によって心が醸成されていくというのがポイントです。

色即是空空即是色という言葉をご存知ですか?色というのは全ての現象界。すなわち、一つの生命体というのは一個の「虚空」ということなんですね。

一個の「虚空」といっても何もないという虚無の世界ではなくて全ての可能性を秘めているという世界です。

わかりやすく2つ説明したいと思います。

物体は科学的に分子、原子で構成されています。原子の構造というのは、原子の中心に原子核というボールがあり、その表面には電子というボールがぐるぐると回っています。

ポイントは原子核と電子の中間に何もないということ、存在の構成要素である原子を見ると、ほとんど空っぽというわけです。禅の世界では、一個の生命体という「虚空」の活動ですべてが現れているということです。

また、最近の最先端の量子力学ではコロンビア大学のブライアン・グリーン博士が、すべての存在は10のマイナス33乗センチメートルの非常に小さな糸(スーパーストリング)の振動パターンで説明できると言っています。つまり、この存在はひとつの音、オーケストラの交響楽だと。

付け加えると、最近の量子コンピューターは、従来のスーパーコンピューターに対して1億倍早いと言われています。

従来のコンピューターは0と1という数字を表しながら計算していますが、量子コンピューターは0と1が重なっている状態からスタートして一定の条件を与えると01が分解されて答えが浮かび上がってきます。計算しているわけではないんですね。

0と1が重なっている状態が、まさに色即是空空即是色。つまり現象界というのは同時に0という、その状況が量子という物質を構成する最小単位に実現されてるということですね。

SDGsやESGにおけるマインドフルネスの意義と役割

橋本 : SDGsは持続可能な世界を作っていこう、地球のために進んでいきましょうと世界で合意したものです。

しかし、普通の生活をしていると目の前の自分の生活のことが大切で、社会や人類の未来のことなんて考えていられないというのが実際多くの方の感覚だと思います。

こういった中で、実際にアクションを起こしていかなければいけない時にマインドフルネスがポイントになると思っています。

最初は自分の苦痛を取り除きたいと自分のためにマインドフルネスを始めますが、実践していくと自分を超越する世界に少しずつ足を踏み入れていくことになります。

どういうことかと言うと、自分の本質的な部分を見ていくと自分の幸せが実は周りの人の幸せとか社会の幸せに直結している、もしくは間接的に繋がっていることに気付くわけですね。

マインドフルネスを実践していくと、SDGsは世界各国の偉い人が唱えた言葉ではなく、自分の長期的な幸せのために必要なことなんだということに少しずつ気付いていく、気付いていくと自分の行動が変わるんですね。自然に少しずつ自己変容が起きてきます。

こういったことが世界中で起きると、世の中や社会が変わっていくのではないかという思いで、MELONは活動させて頂いています。


SHIHO氏 : 意識が変われば行動が変わると私も実感しています。

SDGsは結局自分たちが無意識に過ごしてきたというのが原因で起こっていると思うんですよ。そう思うとやはり自分が意識して生活しているものではなくて、無意識なところに目を向けるというのが大切だと思います。

無意識なものとは、例えば、音を振動として捉えるとか、見るではなくて見られるとか、食べ物が口の中に入った時の感覚を感じてみるという、より深い五感の感覚に意識を向けていくということです。

そういった日常とは違うものに目を向ける習慣を持つと、自分たちが無意識にしていて気付いていなかったものに気付いていき、意識が変わるということに繋がるのではないかと思います。

そして、行動に移すのは意外に簡単なことで、いま多くの企業が目の前でSDGsの活動を行っているので、買うものを変えてみるとか、講演に参加してみるとか、自分達の日常を変えていくことができます。

まずは気付くということが大事で、その気付くきっかけとして瞑想やマインドフルネスが最も簡単でお金がかからず今すぐ始められることだと思います。

無意識の時間を持つ習慣を始めてみると、おのずと意識が変わって行動が変わり、SDGsに関われるようになると思います。


吉田氏 : SDGsについて考えると、ありたい姿と現実が違うということでジレンマを感じるのではないかと思います。

これを二択のように考えるのではなく、今は今として受け止めつつ、そして同時にありたい姿も認めるという、この矛盾するものが混在している状態(認知的不協和)をどうやって乗り越えていくかというところにマインドフルネスが果たす大きな役割があると思います。

SDGsは外形的な見える目標ですから、達成するためには私達の行動を変えなければいけません。行動を変える、行動を見つめ直すということは、自分自身を見つめ直すことになると思います。

まさにいま私達に必要なのは意識の変容です。

どのように意識を変えていくかという時に、マインドフルネスよって自分達を見つめ直していく、そして、二択の発想ではなくて現状を現状でありのまま受け入れながら、そして、自分の身体感覚あるいは心の声、ありたい未来を作っていく、これがSDGsを達成するためのカギにはなるんではないかと思います。


山田氏 : 存在というものが一個の生命体なわけですから、全体がハッピーにならないとハッピーになれないというのが本質的に重要なポイントだと思います。SDGsはとにかくみんなでハッピーになろうよというメッセージ

禅の発見した一つの世界を体験的に発見しなくても、人間の知恵によってやはり人間の存在というのは環境も含めて一個の運命共同体なんだ、一個の本質的生命体なんだということが分かるんですね。

その認識がこういうSDGsという形でデクラレーションされているんだと思います。

マインドフルネス、マインドフィットネス、あるいは禅の瞑想は、SDGsの目標やゴールを達成する心構えを作っていくと思います。これらをやることによってSDGsの宣言が我々人間が生存していくための必要条件なんだと分かってくるプロセスになると思います。

最先端であるアメリカでのマインドフルネスの活動

橋本 : アメリカで色々なスタジオやサロンを視察してきました。おしゃれなスタジオがメインストリートに面していて、週末は地元の人達が集まって一緒に瞑想するなど、体を整えるのと同じように心をケアすることがライフスタイルの中に根付いています

やっぱり体と心は同じだと思うので、自分の心を自分でケアしようという意識の高さを感じます。

そして、留まるところを知らずに、アプリだったり、学校教育だったり、法人だったり、色々なところでどんどん拡大していって、アメリカでは当たり前のものになりつつあると感じています。

日本は少しずつ広がっていますが、5年から7年位遅れていると感じます。


SHIHO氏 : アメリカの方は禅が大好きで、目の前に小さい仏像を置いて瞑想したり、禅の雰囲気を醸し出すようなものがたくさんあって、すごく興味を持たれていると思います。

しかし、日本人として実際にそこに立ったときに、日本の瞑想法というものが定義されていないなというのをすごく感じました。

日本は昔から自然の中に神様がいるとか、禅の世界が身近にあったはずなのに、日本の定義された瞑想法がないと残念に思ったところであり、逆に、ここを提案していけるのではないかと未来を感じた場所でもあります。


吉田氏 : なにか新しいことをやろうとした時に、ビジュアルが大事だったりします。

ロサンゼルスの近郊の素敵なビーチで朝海を見ながら瞑想している人達や、ニューヨークのマンハッタンの川沿いのベンチや芝生の上に座って瞑想されている方が結構いらっしゃいます。

こういった和というのは広がり始めたら案外早いと思います。

例えば、皇居前でこんなにみんながジョギングするなんて20−30年前には想像つかなかったと思いますが、数年でこういうふうになるんです。

私も日本は5年くらい遅れているという感覚ですが、一回火が付けば早いと思います。

やはりとっつきやすさとか、ビジュアルの素敵さが大事で、スタイリッシュなライフスタイルというところが普及の鍵になるのではないかと思います。

社会として身体の健康だけでなく心の健康に対する意識の高まり、そして、それを解決するとための消費者の行動や意識を変えるデザイン、エンターテイメントが鍵になるのではないかと思っています。


山田氏 : アメリカのハーバードビジネススクールの学長さんが、基本的に正しい経営者を教育することは結局人間だ、知識や実践だけではダメだということで、Knowing-DoingにBeingというテーマも付け加えました。

そこに私のマインドフィットネスがフィットして、学生に教えてきました。

つまりビジネススクールでもそれだけ興味が出てきていて、20代の若者が一生懸命座ろうとする空気があるということですね。

マーク・ベニオフ、ラリー・エリソン、スティーブ・ジョブズら経営者は非常に熱心に瞑想を実践しています。

やはりマインドフルネスの効果というのは、個人的な精神安定うんぬんというよりもっと先のビジネスのリーダーとして必要なクリエイティビティ、イノベーションが出てくるということを彼らは間違いなく認識しています。

今後のビジョンや夢について

SHIHO氏 : 瞑想やマインドフルネスって難しくて出来ないと思われる方が多いので、とっても簡単にできますよとか、日常生活にあっという間に始められますという簡単なものを提供できるような役割で活動していきたいと思っています。

禅の精神や想いを体感できる空間に足を運んでみるという提案だったり、簡単に瞑想ができるムービーだったり、もっともっとみんなの生活の中に身近になるような活動をしていきたいです。

また、実際にオンラインやイベントを通してたくさんの人とする共有する機会をこれからも持ちたいなと感じています。


橋本 : とにかく実践をする機会がたくさんありますので、ぜひMELONもそのうちの一つとして12月に渋谷にてサロンをオープンしますし、MELONオンラインというオンラインで実践できるものもあります。

沢山のオプションからどれでも良いので、まずはぜひマインドフルネスをやっていただきたいと思います。


吉田氏 : 十人十色、いきいきと皆さんが生きられる社会をつくるのに少しでも役に立てたらというのが私たちのビジョンです。

SDGsやESGという社会的目標、また心の平和を自分達自身が作って、そして次の世代に残していく、こういったことが少しでも出来ればと思ってます。

例えば、環境に対する破壊あるいは不平等、貧困といった原因は私たちの心の中から、そして行動として出てくるものですから、このマインドフルネスという一つの強力なツールを使って温かい新しい未来を作っていく一助になればと思っております。


山田氏 : ビジネスに携わる方々は、1日に5分でよいので継続して座っていただければと思っています。

リーダーというのは、たとえ1人でも仮に新入社員でも自分の責任範囲を持って意思決定をする人です。300人の部下がいても言われたことをやっているだけの人はリーダーではありません。

そういう意味では自分の責任範囲を持って意思決定する方には必ず役に立ちますので、ぜひ皆さんに5分やっていただきたいというのが私の希望です。