瞑想にはどんな種類がある?種類ごとの効果の違いも解説
「髙橋徹先生」によるマインドフルネスに関する研究や論文の連載コラムです。今回のテーマは「瞑想の種類」と「種類ごとの効果の違い」についてです。
「瞑想にはどんな種類があるのか」「どの種類が自分に合っているのか」という疑問を抱いている方も多いかと思います。ぜひこの記事を参考にしてください。
マインドフルネスとは何かをまず知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
瞑想の種類を3つ紹介|自分に合っている瞑想を選ぼう
マインドフルネス瞑想といっても、座って行うものやヨガなど色々な種類があり、どれを行えばよいか迷う方も多いと思います。
基本的には色々試してみて、やりやすいもの・続けやすいものでいいと思いますが、決められない方は今回ご紹介する研究が役立つかもしれません。
アメリカのボストン大学とケンタッキー大学の研究者が、静坐(せいざ)瞑想、マインドフルネスヨガ、ボディスキャンといった3つの瞑想の効果の違いを調べた研究です。まずは、それぞれの瞑想法について簡単にご紹介します。
参考:Sauer-Zavalaら(2012). Comparing Mindfulness-Based Intervention Strategies: Differential Effects of Sitting Meditation, Body Scan, and Mindful Yoga. Mindfulness, 4, (4).
タイトル訳「マインドフルネスに基づく介入戦略の比較:静坐瞑想、ボディスキャン、マインドフルネスヨガの効果の違い」
静坐瞑想とは?
姿勢を正して座りながら、呼吸の感覚に気づくベーシックな瞑想から始まって、注意を広げて音や思考、感情などにも気づいていく瞑想法です。
マインドフルネスヨガとは?
身体の感覚や状態に気づきながら、身体をのばしたりポーズをとる瞑想的なヨガです。
以下の記事ではマインドフルネスヨガの具体的なやり方を紹介しています。
ボディスキャン瞑想とは?
身体の一部に注意を向けて観察し、その注意をうつしていって、身体全体をすみずみまで観察する瞑想法です。
以下の記事ではボディスキャン瞑想の具体的なやり方を紹介しています。
【3つの瞑想】種類ごとの効果の違いに関する研究概要
この3つの瞑想のクラスのどれかに参加するように、アメリカの大学生141人が3つの群に振り分けられました。それぞれの群の参加者は、1週間に1回1時間のクラスに参加し、どれかひとつの瞑想法を3週間自宅でも実践しました。
例えば、ボディスキャン群に割り振られた人は、ボディスキャンだけを3週間訓練するというような建て付けです。
瞑想の種類によって効果の違いが確認
3週間の実践の前後でアンケートを取って分析した結果、瞑想の種類によって異なる効果見られました。比較的大きな効果が確認された重要なものに絞って、次のようにまとめてみました。
- 静坐瞑想 → 思考や感情を評価判断しないスキルの向上
- マインドフルネスヨガ → セルフコンパッション,心理的ウェルビーイングの向上
- ボディスキャン → 反芻の減少
静坐瞑想によって評価判断の傾向が減少
まず、静坐瞑想を実践した群では、「こんなことを考えちゃダメだ」「こんな風に感じてはいけない」など、自分の思考や感情を評価判断してしまう傾向が減りました。
これは、静坐瞑想では身体感覚だけでなく、思考や感情に気づいて手放すことを繰り返し訓練していたためであり、自分を批判したり責めてしまいやすい人に向いているかもしれません。
マインドフルネスヨガによってセルフコンパッションとウェルビーイングが向上
マインドフルネスヨガは、セルフコンパッションと心理的ウェルビーイングに効果がありました。
セルフコンパッションは、自分の苦しみに思いやりをむけ、それを和らげようとすることを意味しています。ヨガに取り組んで自分の身体と向き合う中で、筋肉の緊張など身体に蓄積されてきたダメージに気づき、それをゆるめてあげようとすることがセルフコンパッションの訓練になったのかもしれません。
心理的ウェルビーイングとは、自分を受容できている状態や、他者との関係が良い状態、人生をうまくやれている感覚など、心理的に良い状態を総合的に表す言葉です。
自分の身体との付き合い方を学ぶマインドフルネスヨガを行っていくと、自分の苦しみを認めて受け入れられるようになり、人生を主体的に生きられるようになると言えます。
セルフコンパッションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ボディスキャン瞑想によって反芻思考の減少
最後にボディスキャンは、過去の失敗や自分のネガティブな部分をぐるぐる考えてしまう、反芻というものを減少させることが示されました。
動かずに身体の色々な部位に注意を向けていると、さまざまな記憶や思いにとらわれることがありますが、それに気づいて手放す訓練をすることで、少しずつ反芻自体が減ると考えられます。過去を思い出して後悔しやすい人に向いているかもしれません。
自分にとって効果的な瞑想法を取り入れよう
注意点として、この研究は全体的に訓練の時間が少ないことが挙げられます。研究参加者は、最低限3回のクラスに参加すればよく、クラス以外の時間も毎日実践することが求められていましたが、どれだけやっていたかの記録はとっていなかったそうです。
静坐瞑想もボディスキャンも継続すれば、心理的ウェルビーイングが向上しそうなのに、と思うのですが、そういった訓練時間の短さが今回の結果に繋がっているのかもしれません(この論文の著者たちも、論文内でこれを認めています)。
ひとつの研究結果として参考にしつつも、自分の実感や気付きを信じて、自分にとって最も良い実践プログラムを探索していきましょう。
以下の記事では静坐瞑想、マインドフルネスヨガ、ボディスキャン瞑想以外のマインドフルネス瞑想を紹介しています。
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